投資信託の複数銘柄保有にはどんな意味があるのか?

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投資信託(インデックスファンド)の複数銘柄保有の是非についての話題です。特に最近、iDeCoや積立NISAに関する国や金融機関の啓蒙活動の甲斐もあってか、投資信託を始める投資初心者の方も増えてきたため、自らの経験も踏まえて記事にしてみました。

 

先日、最近投資信託を始めた会社の同僚に、保有している投資信託銘柄を教えてもらう機会がありましたが、ある程度予想はしていたものの、案の定似たようなアセットクラスに投資する投資信託銘柄を複数保有している状況でした。

 

結論から言うと、残念ながらこの保有の仕方にはほとんどの場合意味がないもしくは薄いため、一般的におすすめできる方法とは言えません。なぜなら、投資信託を保有するにあたって考えるべきは銘柄数(保有本数)ではなくその中身、つまりアセットアロケーション(資産配分)だからです。

 

そこで今日は、主に投資信託初心者の方向けに、投資信託の複数銘柄保有についての考え方をご紹介してみようと思いますので、今後投資信託を始めようとお考えの方はもちろん、既に複数銘柄を保有してしまっている方も改めてご参考ください。

 

投資初心者が犯しがちな意味のない投資信託の複数銘柄保有とは

 

冒頭でも触れましたが、初心者が犯してしまいがちな意味のない複数銘柄保有について、もう少し詳しく定義しておきましょう。あくまでも複数保有が誤っているという訳ではなく、アセットアロケーションの観点もなく行ってしてしまっている場合だとお考え下さい。

 

例えば、さすがに実践している方は少ないかと思いますが、分かりやすい例としては、「ニッセイ外国株式インデックスファンド」と「たわらノーロード先進国株式」という、共にMSCIコクサイ・インデックスに連動する2銘柄を保有する形が挙げられます。

 

これをもって銘柄分散をしているつもりなのかもしれませんが、当然ながら大きな勘違いです。運用機関は違えど、中身は全く同じアセットクラスに投資している投資信託銘柄同士であるため、片方だけであろうと両方であろうとリスクもリターンも基本的には変わりません。

 

信託報酬手数料の観点で、途中から売却することなくより安い銘柄に乗り換えたために2銘柄を保有するに至ったのであれば仕方ありませんが、それ以外の理由でこの2銘柄を並行して保有する意味は基本的にはないと言えます。

 

実際にありがちなパターンとしては、例えばアセットアロケーション観点のない先進国株式などの特定アセットの投資信託商品とバランス型商品の同時保有、もしくはアセットアロケーションが微妙に異なるバランス型投資信託同士の複数保有などです。

 

特に、後者のアセットアロケーションが微妙に異なるバランス型投資信託同士の複数銘柄保有などは、基本的に投資しているアセットクラスの数も多く複雑になるため、結論から言うとアセットアロケーション管理は事実上不可能だと言えます。初心者であれば尚更でしょう。

 

例として、以下に比較的人気の高い三井住友トラスト・アセットマネジメント社の2つのバランス型投資信託に、均等投資した場合のアセットアロケーション例をご紹介します。当然ながら各アセット毎の構成比だけでなく、投資配分が変わればアロケーションも変わることになります。

 

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実際には特別な根拠なく複数保有しているケースが多いのではないかと思いますが、そもそも仮にこのアセットアロケーションが希望であれば、わざわざ管理を複雑にしなくてもパフォーマンス上もほとんど違いはないため、SMTインデックスバランスオープン1本で十分事足りますし、ほんの僅かですが信託報酬手数料も抑えられます。

 

いずれにせよ、投資信託の誤った複数保有が銘柄基準で行われるのに対し、正しい複数保有は逆の発想、つまり自分のリスク許容度を踏まえた上で、適したアセットアロケーションを実現するのに必要な場合に限り、複数の投資信託を組合せて保有する形だと言えます。

 

投資信託のリスクやリターンを決めるアセットアロケーションとは

 

それではここで、アセットアロケーションが重要な理由についても念のためおさらいしておきます。アセットアロケーションとはアセットクラス毎の構成比であり、そもそもリスクコントロール、つまり自分のリスク許容度以上のリスクを抱えることを避けるためのKPIだと言えます。

 

実際に投資信託を通じてコントロール可能なアセットクラス分類としては、一般的に日本株式、先進国株式、新興国株式、日本債券、先進国債券、新興国債券、REITなどが挙げられますが、当然ながらそれぞれリターンはもちろんリスクも異なります。

 

例えば、中国などの新興国の株式と日本の債券を思い浮かべてもらえると、初心者の方でも何となくイメージいただけるのではないかと思いますが、この2つの資産でポートフォリオを組む場合、新興国株式の比率を上げればリスクは上がり、日本債券の比率を上げればリスクは下がることになります。

 

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※みずほ証券ウェブサイトより

 

また、アセットアロケーションを考える上では、単に各アセットクラスのリスクとリターンの高低だけでなく組み合わせも重要です。以下は資産毎の相関係数表ですが、1に近づくほど相関あり、0が無相関、-1に近づくほど逆相関の関係にあるということになります。

 

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ご覧いただくとお分かりの通り、資産毎の組合せによって動き方も異なってくるため、ポートフォリオのリスクを下げる上では、単にリスクの低いアセットクラスを組み入れるだけにとどまらず、逆の動きをする資産同士を組み合わせる形も、有効な軽減手段になり得るということです。 

 

要するに、投資信託を始めるにあたっては、アセットアロケーションというKPIそのものが重要なのではなく、アセットクラス自体が持つリスクや組合せによる効果の違いを踏まえた上で、自らのリスク許容度に適した資産配分を見出し維持することが重要だということです。

 

投資信託の保有銘柄数は最小限におさえる形がおすすめ

 

以上、投資信託における複数銘柄保有の意義について簡単にご紹介してみました。結局のところ、アセットアロケーションを維持することを考えると、手間や税金などのコストが増えるだけでそれに見合うリスクとリターンが実現するとは限らないため、個人的には投資信託の複数銘柄保有は基本的にはおすすめしません。

 

仮に幅広い資産に対して分散投資を希望する場合には、複数の投資信託銘柄に投資するよりも、自分が考えるアセットアロケーションに近く、信託報酬手数料がより安いバランス型投資信託1本に投資する形の方が、リバランスの手間やコストも含め、現実的なパフォーマンス面においても妥当な選択ではないかと考えます。

 

もちろん、投資信託を複数銘柄保有するか否かは投資家の自由ではありますが、いずれにしても、本日ご紹介したようなセオリーや理屈を理解した上で実践している必要はあるかと思いますので、現在している方は改めて複数銘柄保有する意義やメリットについて確認されることを是非おすすめします。

  

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