生活必需品セクター投資のリターンは本当に高いのか?その魅力と注意点を再確認

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米国生活必需品セクター投資のリターンと投資上の注意点についての話題です。私自身も大好きなセクターでもあり、配当再投資を実践している米国株(アメリカ株)投資家にとっては欠かすことができない人気のセクターだと言えます。

 

しかしながら、一昨年末のトランプ相場が始まって以降、他のセクターと比べて見劣りしているほか、金利上昇の影響からここ最近の株価はさらに停滞しているため、中には生活必需品セクター銘柄に対して疑問を持ち始めている方もおられるのではないでしょうか?

 

そこで今日は、改めて生活必需品セクターの特長や強みについて、S&P500指数との比較の下に過去の株価データを使って再確認してみたいと思いますので、ETFなどを通じて本セクターに新規投資もしくは保有継続可否を検討している方は、この機会に是非ご参考いただければと思います。

 

シーゲル氏調べ「生活必需品セクター」のリターン実績

 

ジェレミー・シーゲル氏が著書「株式投資の未来」の中でも紹介されている通り、生活必需品セクターは過去トップレベルのパフォーマンスを残してきています。参考までにシーゲル氏が紹介した1957年から2003年までのセクター別のリターン実績は以下の通りです。

 

1位 ヘルスケア 14.19%

2位 生活必需品 13.36%

3位 情報技術 11.39%

4位 エネルギー 11.32%

5位 一般消費財 11.09%

6位 金融 10.58%

7位 資本財 10.22%

8位 電気通信 9.63%

9位 公益事業 9.52%

10位 素材 8.18%

※「株式投資の未来」より抜粋

 

生活必需品セクターのリターンが高かった理由としては、景気に左右されない事業、株主還元力、さらには成長を望む投資家の期待を過剰に背負うことなく、常に比較的割安な状態にあった点などが挙げられましょう。

 

根本的には共通する部分ではあるものの、本記事ではあくまでも直近における生活必需品セクターのリターンがテーマでもあるため、当時のリターンが高かった背景や要因についてはこのぐらいにとどめたいと思います。より詳しく知りたい方は、シーゲル 氏の著書「株式投資の未来」をご参考ください。

 

ただ一方で、シーゲル氏が紹介したセクター別のリターンは、あくまでも2003年までの46年間における結果であるため、本当に生活必需品セクターのパフォーマンスが高いか否かはそれ以降の経過も確認してみる必要があります。仮に継続していなければ、一過性のものだったということになってしまうためです。

 

それでは、以降の生活必需品セクターにおけるリターンの状況について、実際に生活必需品セクターに対する投資を可能にしてくれる具体的な手段でもある、バンガード社ETFの直近の株価データを用いてよりリアルな形で確認してみることにしましょう。

 

直近1年間における生活必需品セクターはゼロ成長

 

まずは、直近1年間におけるパフォーマンスの確認です。以下はブラックロック社のS&P500指数連動ETFの「IVV」と、バンガード社における生活必需品セクターETFの「VDC」の株価を用いたIndexチャートです。それぞれ1年前にあたる2017年2月9日の株価を100とした場合のIndexをグラフ化しています。

 

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※stooq.comの株価データを使用

 

昨年6月以降パフォーマンスの差が広がり始め、ここ最近の調整を含めて考えたとしてもIVVが株価を伸ばすことができているのに対し、VDCはこの1年間株価をほとんど伸ばせていない状況であることが分かります。 私のポートフォリオも約7割が生活必需品セクターの銘柄で占められているため同じく惨敗中です。

 

米国株ブロガーの方の中にも、常時自らのポートフォリオとS&P500指数とのパフォーマンス比較を熱心にされている方も多いため、生活必需品セクター銘柄の占める割合が高いポートフォリオを持つ投資家の方にとっては、心中穏やかではいられない状況に陥るのも無理はありません。

 

それでは、シーゲル氏が紹介した生活必需品セクターの高いパフォーマンスは過去の栄光であり、現在では既に通用しない考え方になってしまったのかと言うと勿論そういう訳でもありません。ということで、もう少し長期スパンにおける両者のパフォーマンスを確認してみましょう。

 

リーマンショックにより生まれた投資リターンの優位性

 

それでは改めて長期チャートで両者を比較し直してみます。以下は同じくIVVとVDCの株価Indexチャートですが、可能な限り長期ということで、stooq.comにて共に入手可能なIVVとVDCの株価データの中で最も古い、2005年2月25日をスタート地点に変更してグラフを作成してみました。

 

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※stooq.comの株価データを使用

 

約13年という期間でチャートを作成してみると景色は一変し、VDCがIVVを大きく上回っていることが分かります。少なくともこれを見る限り、シーゲル氏が言及しているような生活必需品セクターのパフォーマンスの高さは、現在においても健在だと言えそうです。

 

中でも注目すべきは、リーマンショックの直前までの数年間は共にほぼ同じ動きをしていたにも関わらず、リーマンショックによる大暴落の際に生まれた両者の下落幅の差、つまりVDCのアドバンテージに関しては、以降も縮まることなく現在に至っている点です。

 

先ほどご紹介した直近1年間のチャートでは、VDCが大負けしているように見えるものの、上記チャートを見る限り、IVVは2015年暮れから2016年の始めにかけて拡大したVDCとの乖離をこの1年で取り戻し、ようやくリーマンショック時の差まで追いついたに過ぎないことが分かります。

 

そもそもリーマンショック時に下落幅が少ない背景には、冒頭でも触れた理由、つまりリセッション時も揺るがない生活必需品事業と利益、さらにはそれに伴い変わることなく実現する配当や自社株買いなどの株主還元、そしてそれらによる株価下落に対するプロテクター効果などが挙げられましょう。

 

要するにこの13年間について言えば、VDCのリターン上の優位性はリーマンショックというリセッションの最中に生まれたIVVとの差分にあり、逆に言えばリーマンショックが発生していなければ、長期的にはIVVとVDCとの間にリターンの差はほとんど生まれなかったということです。

 

その意味では、今回はリーマンショックのみを含むデータを使用しているものの、仮に生活必需品セクターのリターンの優位性がリセッションによって生まれるという法則があるとするならば、今後もリセッションを繰り返す度毎に、IVVに対する本セクターの相対的なリターンは向上して行く可能性があると言えましょう。

 

生活必需品セクターへ投資可能なおすすめのETF銘柄

 

少し寄り道です。今回は、生活必需品セクターを代表する位置づけとして、バンガード社ETFのVDCのデータを使用したものの、生活必需品セクター投資が可能なETFは他にも存在するため、改めて参考までにVDCを含めた代表的な3つのETFについて以下の通りご紹介します。

 

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 ※2018年2月時点の各運用会社情報より

 

端的に言えば、VDCとXLPは投資対象が米国地域に限定されており、主要銘柄もかなり似通っているのに対して、ネスレが最上位に組み入れられていることからもお分かりの通り、KXIは良くも悪くも米国外の銘柄が組み入れられており、それに伴い経費率も高くなっている点が大きく異なります。

 

KXIに関して入手可能な最も古い2006年9月21日以降の株価データを使って、上記3銘柄とIVVの計4銘柄を比較したIndexチャートを改めて作成してみましたが、KXIはVDCやXLPを大きく下回っているほか、IVVにも追いつかれています。

 

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※stooq.comの株価データを使用

 

高リターンを誇る生活必需品セクターと言えども、KXIならではの米国外銘柄のパフォーマンスの低迷や、長期的にボディブローのように効いてくる0.48%という、IVVに比べて10倍近い高経費率をカバーしきれなかったのではないかと個人的には推測しています。

 

同じ生活必需品セクターETFではあるものの、上記の通り意外に大きなコンディションの違いが存在するほか、当然ながら投資対象銘柄やコンディションが違えばリターンも異なるため、改めてそれぞれの特長やそれによる影響を踏まえた上で、ご自身の方針や考え方に合った商品を選択する必要がありそうです。

 

参考までに個人的な意見を言うと、上記の通りこれまでのリターンも高かったほか、投資銘柄数も最も多く分散が効いており、且つ何よりも重要な経費率が最も低く長期的により高いリターンが期待できるという理由から、VDCが最もおすすめです。

 

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生活必需品セクターへ投資する上での注意点

 

以上VDCとIVVの比較を基に、生活必需品セクターの相対的な強さについて直近13年間を振り返ってみましたが、シーゲル氏の調査結果だけでなく直近13年間の実績でもそうだったように、少なくとも生活必需品セクターはS&P500指数を上回るパフォーマンスが期待できる投資対象だと言えそうです。

 

しかしながら注意すべきは、それはあくまでも一定の条件下における話、つまり両者に対して同じタイミングで投資を実行し、それらをリセッション時も含めて長期的に買い持ちした場合に限って言える事実であり、どのような場合にも再現できる原則ではないということです。

 

例えば、短期的にキャピタルゲインを得ることを目的とするような投資家の場合であれば、直近1年間で言えば間違いなくVDCではなくIVVに投資すべきであり、もっと言うならIVVよりもアマゾンドットコムなどの個別グロース株銘柄に投資した方が、タイミングさえ間違えなければより高いリターンが期待できましょう。

 

したがって、生活必需品セクター銘柄への新規投資や保有継続可否に疑問を感じている方は、この機会に生活必需品セクターのメリットの中身、さらには自身がそれを享受可能な投資スタイルか否かを再度確認した上で、改めてこの先の保有可否についてご判断いただくことを是非おすすめします。

 

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