リバランスは個別株においてもリターンの向上を実現する効果的な手段なのか?

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個別株における銘柄間のリバランス効果に関する話題です。個別株ポートフォリオを長期的にバイ・アンド・ホールドしている皆さんは、普段リバランスをどの程度活用されていますか?

 

リバランスと言うと、株式と債券、もしくは無リスク資産とリスク資産など、主にアセット間における話題として取り沙汰されることがほとんどですが、実は個別株銘柄間においてもリバランスは強力なリターンの底上げ効果を発揮します。なぜなら、安く買って高く売るサイクルを実行できるからです。

 

そこで今日は、具体的な米国(アメリカ)を代表する個別株銘柄の事例をもとに、できる限り分かりやすくリバランスの効果をご紹介してみようと思いますので、これまであまり意識をしていなかった方は、是非この機会にご参考ください。

 

リバランスとは

 

個別株におけるリバランス効果を語る前に、まずはリバランスという行為自体の意味について念のためおさらいしてみます。基本的な投資用語でもあるため既にご存知の方も多いかと思いますが、改めてその意味を確認してみましょう。

 

リバランスとは、ポートフォリオを構築(投資対象を実際に組入れ)した後、相場変動などで変化した投資配分比率を見直し、値上がりした資産・銘柄を売り、値下がりをした資産・銘柄を買い増す、などによって、ポートフォリオの構成を最初と同じ比率に修正していく手法のことです。(大和投資信託ウェブサイトより抜粋引用)

 

一般的にリバランスは、分散投資におけるリスク調整の意味合いで語られることが多いように思いますが、本記事はリスク調整という観点ではなく、個別株ポートフォリオにおける年率リターンやシャープレシオなど、どちらかと言うとパフォーマンスよりのリバランス効果がテーマです。

 

リバランスの効果検証

 

そらでは早速、個別株銘柄間のリバランス効果を確認してみましょう。今回は、各銘柄に投資する以上のパフォーマンスを実現可能な2銘柄ポートフォリオにおける、リバランスの有無別のパフォーマンス比較を通じて確認することにします。

 

事例①:アルトリア・グループ & アップル

 

まずは先日の記事でもご紹介した、相性が良好なアルトリア・グループとアップルの2種均等ポートフォリオを用いてリバランスの効果を検証してみます。今回行うバックテストに関しては、1988年からの30年間における配当再投資ありの設定を前提としています。

 

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 ※portfoliovisualizer.comより抜粋引用

 

ご覧の通り、年に1度のリバランスを実施することにより得られていた年率リターン(CAGR)やリターン効率(Sharpe Ratio)は、リバランスを実施しないパターンにおいては実現できておらず、それぞれ単体で投資した場合と何ら変わらない水準に下がってしまっていることが分かります。

 

おそらく理屈の上では理解されていた方も多いかと思いますが、リバランスの有無がここまでパフォーマンスに大きな影響を及ぼすとは思っていなかった方も多いのではないでしょうか?これこそがリバランスの効果です。

 

事例②:スリーエム & プロクター・アンド・ギャンブル

 

上記事例①のケースだけを見ても、リバランスがパフォーマンスに及ぼす効果は明らかではありますが、①の事例特有の現象ではないことを確認するため、念のため別の組み合わせでもリバランス効果の有無を検証してみましょう。

 

2つ目のケースとして検証する対象は、資本財セクターを代表するスリーエムと生活必需品セクターを代表するプロクター・アンド・ギャンブルの組合せです。共に世界を代表する人気優良銘柄でもあるため、投資している方も多いのではないでしょうか?

 

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  ※portfoliovisualizer.comより抜粋引用

 

予想通りではありますが、事例①と同様、リバランスをしなかったパターンにおいては、組み合わせることで得られていたCAGRやSharpe Ratioの改善効果がほぼ消えてなくなってしまっていることがお分かりいただけるかと思います。

 

リバランス頻度別効果比較

 

本題とは少し異なりますが、参考までにリバランス頻度別のパフォーマンスについても確認してみましょう。以下の表は、上記事例①のケース、アルトリア・グループとアップルの2種ポートフォリオを用いた、1年毎から毎月までの4パターンに関する試算です。

 

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※portfoliovisualizer.comより抜粋引用

 

上記を見ると、1年に1度のリバランスから頻度が増す毎にパフォーマンスが下がっていくことがお分かりいただけるかと思います。勿論、少なければ少ないほど良いかと言えばそうとも限りませんが、少なくともリバランス頻度を無闇に増やすことは逆効果になる可能性が高いということです。

 

最後に

 

以上、個別株ポートフォリオにおけるリバランス効果について、実例をもとにご紹介してみましたがいかがでしたでしょうか?予想していた以上のパフォーマンス向上効果に、多かれ少なかれ驚かれた方も多いのではないかと思います。

 

当然ながら、リバランスをリターンにつなげるためには、アンバランスの発生、つまり各銘柄が多かれ少なかれ相反する株価を辿る必要があるため、ポートフォリオ構築にあたっては、markethack.net より引用したお馴染みのマップのように、原則異なるセクターの銘柄を保有しておく必要があると言えましょう。

 

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いずれにしても、分散されたポートフォリオにおいては、リバランスを行うことなくパフォーマンス向上を実現することは難しいと言えるため、これまでリバランスを実施して来なかった方は、この機会に効果的な実施方法について、改めて検討されてみることをおすすめします。

 

www.usstocks.club

 

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