リーマンショックで検証する米国ディフェンシブ株の下落耐性とは

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リーマンショックの株価大暴落時における、ディフェンシブ株の耐性に関する話題です。正直なところ、大暴落の際のことなどできればあまり想像したくないことではありますが、ポートフォリオを組む上では誰もが避けて通れない課題だと言えましょう。

 

一般的にディフェンシブ株は、キャピタルゲインという株式投資ならではの醍醐味が少ない反面、下落局面での守りは強いタイプの株式群だと言えるため、ポートフォリオの中に一定割合組み込むことでリスクを減らすことができます。ただ、本当にディフェンシブ株には下落耐性があるのでしょうか?

 

そこで今日は、主な米国のディフェンシブ銘柄だけを集めたポートフォリオを例に、リーマンショックという大暴落を経験した場合にどの程度下落耐性があるのか、簡単にリーマンショックをおさらいした上で、S&P500指数連動ETFのIVVとの比較を通じて確認してみたいと思います。

 

リーマンショックの大暴落とは

 

まずは、株価大暴落の代表格リーマンショックについて簡単におさらいしてみましょう。リーマンショックとは、2008年9月にアメリカの名門投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻したことにより、世界的な金融危機の引き金となった出来事のことを言います。

 

2007年のサブプライムローン問題に端を発した米国の住宅バブル崩壊は、2008年の中旬になって広範囲の資産価格の暴落を引き起こし、2008年9月15日特に大きなリスクを負っていたリーマン・ブラザーズが破綻するに至りました。同じ外資金融に勤める身ですが、あのリーマン・ブラザーズがまさか破綻するとは思ってもみませんでした。

 

2008年3月に発生したベアー・スターンズの経営危機に際しては、政府による救済があったため、市場もまさかリーマン・ブラザーズが破綻するとは思っていなかったためか、リーマン・ブラザーズが見捨てられたことで一気に緊張が高まり、世界的な株式相場の大暴落が起こったという経緯です。

 

S&P500指数連動ETFの暴落率

 

それでは、リーマンショック当時の株価の動きを順に見て行きましょう。まずはS&P500指数連動ETFのIVVです。stooq.comの株価データを用いて、2008年1月2日の株価を100とした場合のIVVの7日間隔の株価Indexを、2009年12月30日までの約2年間についてIndexチャートを作成してみました。

 

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参考までに、Index63となった最初の下落地点がリーマン・ブラザーズ破綻直後の2008年10月9日ですが、これは10月3日の金融安定化法案可決後に始まった暴落の途中段階にあたり、最終的には2009年3月3日にIndex48と半分以下の水準まで大暴落することとなりました。

 

米国株のみのETFとは言え、一般的には広く銘柄分散されたポートフォリオであるはずのS&P500指数連動型であったとしても、リーマンショックのような100年に一度と言われる歴史的大暴落の前では無力であったことが分かります。

 

ディフェンシブ株ポートフォリオの下落耐性

 

それでは本題の、ディフェンシブ株を集めたポートフォリオ7種における評価額の動きについて、IVVとの比較を通じて確認してみましょう。この7種ポートフォリオに関しては、各銘柄に対して均等に投資する形で全体の評価額、さらにはIndex値を算出しています。

 

ポートフォリオ7種

 

①コカ・コーラ(KO)

②プロクター・アンド・ギャンブル(PG)

③ファイザー(PFE)

④ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)

⑤エクソン・モービル(XOM)

⑥アルトリア・グループ(MO)

⑦ゼネラル・ミルズ(GIS)

 

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最初の暴落地点に関しては、IVVの63に対してポートフォリオ7種は81と、IVVに比べ約半分の下落幅しかなく、さらに最も大暴落した2009年3月3日に関しても、IVVの48に対して68と、ここでも大幅に少ない下落率を誇っていることが分かります。

 

一般的に、リーマンショック級の大暴落が発生した際には、株価が半分になると誰もが口を揃えて言いますし、実際にS&P500指数連動のIVVでさえも半分以下になったにも関わらず、ポートフォリオ7種に関して言えば、3割ほどの下落にしかならなかったということです。

 

以上から考えると、リーマンショックの大暴落時について言えば、鉄壁と言えるかどうかは別として、今回のディフェンシブ株ポートフォリオはそれに相応しい守備力を十分発揮したように思いますが、いかがでしょうか?

 

ゼネラル・ミルズのディフェンス力

 

今回検証したポートフォリオ7種の構成銘柄の中でも、相対的な株価パフォーマンスにおいてあまり良いところがないことが多いゼネラル・ミルズですが、今回リーマンショック時の株価の動きを調べる過程で脅威のディフェンス力が発覚したため、若干本題からは外れますがこの場を借りてご紹介します。

 

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先ほどのグラフに、ゼネラル・ミルズを緑色の折れ線で加えましたが、第一の暴落地点では下がるどころか1月2日の株価100を上回っており、最大の暴落地点でも88と本当に大暴落の最中なのかが分からなくなるほど少ない下げ幅です。ゼネラル・ミルズとは思えないほど逞しく頼もしい株価の動きではないでしょうか。

 

何となくイメージでは理解していたつもりですが、ここまで高いディフェンス力を持つとは思いませんでした。普段は冴えない印象ではあるものの、ある意味これが食品株の売りであり強さとも言えるため、ポートフォリオの一部に食品株を組み込むことの重要性をしみじみ痛感します。

 

銘柄(+α)毎のチャート比較

 

続いて参考までに、ポートフォリオ全体としてだけでなく、7種の各銘柄それぞれについても、当時の株価の動きを同じように以下にグラフ化してみましたので、興味のある銘柄についてピンポイントでご参考下さい。

 

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一般的には暴落に強いとされている銘柄としては、コカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブル、さらにはジョンソン・アンド・ジョンソン等だと思いますが、それらの代表的なディフェンシブ銘柄と比べても、ゼネラル・ミルズが頭一つ抜け出す暴落耐性を見せています。

 

なお、グラフにはありませんが、同じくリーマンショック時に強かったことで有名なマクドナルドに関しても、個人的な知的好奇心から調べてみたところ、最初の暴落地点が90、最大の暴落地点ではゼネラル・ミルズ同様に88という素晴らしい成績であったことを参考までにお伝えしておきます。

 

最後に

 

以上、リーマンショックを題材にして、ディフェンシブ株のディフェンス力を再確認してみましたが、皆さんのポートフォリオは、大暴落の際どのような動きになりそうかイメージされていますか?

 

特に株価の好調な時は、どちらかと言うとリスクを取ってリターンを上げることしか考えませんが、そういういい時にこそ、万一暴落した場合の守りについても考慮しておく必要がありましょう。

 

是非この機会に、単なる心の準備だけでなく、100年に1度と言われるリーマンショックを題材にして、自分のポートフォリオのリアルな下落幅を確認し、今の形で精神的に耐え得るのか、もしくは銘柄を入れ替える必要があるか否かを、冷静に判断できる今の段階で一度ご確認いただくことをおすすめします。

 

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