ニューヨークダウとは?その正体を具体例を使って分かりやすく解説してみる
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世界で最もメジャーな株価指数とも言えるニューヨークダウ(Dow Jones Industrial Average)に関する話題です。米国株投資家でなくても、おそらくニュースなどで名前ぐらいは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
今年6月、長年ニューヨークダウの構成銘柄として君臨してきたゼネラル・エレクトリック(GE)が、業績不振をきっかけに構成銘柄から外れ、代わりに26日付でウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)が新たに採用されることになりました。
ゼネラル・エレクトリック(GE)がダウ工業株30種平均の構成銘柄から外れることが19日、明らかになった。長引く業績不振による時価総額の減少が除外につながったもようだ。これでダウ平均が作られた1896年のオリジナル銘柄が全て消滅した。26日からは、代わりにドラッグストア大手のウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが加わる(日本経済新聞記事より抜粋引用)
今回入れ替えられた2銘柄について言えば、ゼネラル・エレクトリックの株価が25日終値ベースで12.75ドル、一方ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスが67.24ドルと、株価的に5倍以上の開きがありますが、そういった銘柄同士が入れ替わった場合、ニューヨークダウはどうなるのでしょうか?
そこで今日の記事では、そういった素朴な疑問を題材にして、ニューヨークダウを形作る肝とも言える算出ロジックについてできるだけ分かりやすく解説すると共に、その説明を通じて、そもそものニューヨークダウの正体についても同時に明らかにできればと思います。
ニューヨークダウとは
ニューヨークダウとは、「ダウ平均株価」「ダウ平均」「NYダウ」「ダウ工業株30種平均」など呼び名は様々ですが、全てはS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出ならびに公表する、以下に挙げたダウ工業株30種の株価を平均化した、米国を代表する株価指数のことを指します。
〔ダウ工業株30種〕
- スリーエム(MMM)
- アメリカン・エキスプレス(AXP)
- アップル(AAPL)
- ボーイング(BA)
- キャタピラー(CAT)
- シェブロン(CVX)
- シスコ・システムズ(CSCO)
- コカ・コーラ(KO)
- ダウ・デュポン(DWDP)
- エクソン・モービル(XOM)
- ゴールドマン・サックス(GS)
- ホーム・デポ(HD)
- アイ・ビー・エム(IBM)
- インテル(INTC)
- ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
- JPモルガン・チェース(JPM)
- マクドナルド(MCD)
- メルク(MRK)
- マイクロソフト(MSFT)
- ナイキ(NKE)
- ファイザー(PFE)
- プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
- トラベラーズ(TRV)
- ユナイテッド・ヘルス(UNH)
- ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)
- ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)
- ビザ(V)
- ウォルマート・ストアーズ(WMT)
- ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)
- ウォルト・ディズニー(DIS)
1896年の創設から、永きにわたりニューヨーク証券取引所(NYSE)上場企業で構成されてきましたが、1999年11月に初めて、ナスダック(NASDAQ)上場企業からインテルとマイクロソフトがノミネートされて以降、時代と共にその顔ぶれも変化を遂げてきています。
また、ご覧の通り世界に名だたる企業ばかりが並んでいるため、採用銘柄についてはかなり厳しい基準の下にノミネートされていると思われがちですが、実は、算出会社とウォールストリートジャーナルの代表者から成る指数委員会が、アメリカの広範な株式市場を代表するように選ぶというだけの、ある意味曖昧な基準で選定されているようです。
ゼネラル・エレクトリックの銘柄入れ替え前後における株価推移
さて、上記の通りニューヨークダウは構成銘柄数が30種と少なく、且つ端的に言えば株価の平均値でもあるため、今回のゼネラル・エレクトリックのように構成銘柄の入れ替えがたとえ1銘柄でも発生した場合には、比較的大きな影響を受けることになります。
そこで参考までに、ゼネラル・エレクトリックとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスの入れ替えが行われた、26日前後(赤丸部分)のニューヨークダウの実際の動きについて、以下のチャートにて実際にその株価推移を確認してみることにします。
特に不自然な様子はなく、自然な株価の動きのように見えます。そもそも、仮にコンディションの違う数字同士であるならば、時系列の動きにも連続性が失われてしまうほか、折れ線グラフで表示すべきものでもなくなってしまうため、当然と言えば当然です。
それでは、今回ゼネラル・エレクトリックとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスという、5倍以上もの株価の開きがある同士が入れ替わったにも関わらず、その平均値でもあるニューヨークダウが影響を受けていないのはなぜでしょうか?
除数の活用というダウ平均株価の算出における単純なカラクリ
それでは、改めてニューヨークダウの算出方法について確認してみることにしましょう。先に、ニューヨークダウは構成する30銘柄の株価の平均値だということをお伝えしましたが、実はそこには時系列の純粋な株価の比較を可能にするカラクリのようなものが存在します。
具体的には、単純な平均値ではなく、構成銘柄の株価変動要素を除いた上で、銘柄の入れ替え後と入れ替え前の平均株価が一致するような、ある意味下地処理にも似た調整が加えられており、その調整は除数と呼ばれる数字を使った計算により行われます。
かなり単純化して説明します。例えば、ニューヨークダウが以下①から③の3銘柄で構成されており、銘柄①が150ドルの株価の銘柄と入れ替わることになったと仮定した場合には、入れ替え前の平均株価300ドルを維持すべく、割り算の分母にあたる除数は2.5になるという理屈です。
この除数を使った調整により、当然ながら平均値としての正確性は失われるものの、純粋に構成銘柄の株価の動きを表わすことが可能な数値と化すため、時系列での動きにも連続性が生まれ、折れ線グラフによって表現されるに相応しいものへと生まれ変わることになるのです。
なお、今日は銘柄入れ替えのケースを例にニューヨークダウの算出方法をご紹介しましたが、その他にも構成銘柄における株式の分割やスピンオフ、さらには合併などの変動が生じた際も、銘柄入れ替えと同じように、除数による調整が適宜行われることになります。
見出しには算出のカラクリと大袈裟な表現を使いましたが、結局のところ、永きにわたり世界の投資家の注目を集め続ける株価指数ニューヨークダウとは、除数による調整はありながらも、意外なほど単純な仕組み、つまり構成する30銘柄の株価の単純平均に過ぎないということです。
最後に
以上、世界で最もメジャーな株価指数ニューヨークダウについて、具体例や平易な表現を用いながら、あまり普段馴染みのない方にもできるだけ分かりやすいような形でご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか?
正直なところ、仮にニューヨークダウの込み入った正体を知らなくても日常生活上困ることはありませんが、今日ご紹介したようなニューヨークダウに関する小ネタが、米国株投資にも興味を持つきっかけになれば、提供した甲斐があったのではないかと思っています。
また、本記事では主に株価の算出方法を中心に取り上げましたが、同じニューヨークダウでも、過去のリターン実績、連動するETFやインデックスファンド、さらにはダウの犬投資法など、他にも多々違う切り口が考えられるため、是非改めてご自身でも調べてみていただければと思います。