世界経済インデックスファンドを信託報酬手数料要因で売却した経緯のご紹介
三井住友トラスト・アセットマネジメントが運営している人気の高い投資信託、世界経済インデックスファンドに関する話題です。数あるバランスファンドの中でも、比較的認知度も歴史もある代表的な存在でもあるため、投資を検討したことがある方も多いのではないでしょうか?
私自身も、株式投資について勉強し始めた当初、世界経済の成長を取り込むべく、新興国も含めた世界の株式と債券を対象とした世界経済インデックスファンド(株式シフト型)に投資していた時期がありましたが、約1年程度投資を続けた後、やむなく売却したという過去を持っています。
そこで今日は、NISA や積立NISA の普及により、インデックス投資を始める方も増えてきている状況を踏まえ、同じような間違いを起こさないためにも、私が最終的に世界経済インデックスファンドを売却した理由について、当時の記憶を辿りながらご紹介してみようと思います。
世界経済インデックスファンドとは
参考までに簡単にご紹介すると、世界経済インデックスファンド(株式シフト型)とは、日本10%、先進国60%、新興国30%の比率で世界全体を投資対象とし、アセット配分を株式75%、債券25%と分散させながらも、株式比率を高めることでリターンの向上を目指すバランス型のインデックスファンドです。
世界経済インデックスファンド|三井住友トラスト・アセットマネジメント
世界経済インデックスファンドシリーズには、私が投資していたこの株式シフト型の他に、株式と債券に「50:50」の比率で投資するベーシックタイプと、株式と債券に「25:75」の比率で投資する債券シフト型という計3種類がラインナップとして用意されているため、それぞれのリスク許容度に合わせて選択が可能です。
世界経済インデックスファンドを売却した理由
当時から私は長期運用を前提としていたため、投資スタイルはもちろん積立投資で、楽天証券の自動引き落とし機能を活用したドルコスト平均法により、強制的に毎月10万円分を積み立てるという、インデックス投資のセオリーに沿った手間のかからない効率的な形で運用していましたが、面倒くさがりの私にとってはすこぶる快適でした。
また、商品自体に関しても、幅広く分散されているためリスクが低く抑えられており、かつ株式や新興国への投資により平均以上のパフォーマンスが得られる可能性が高いため、数ある投資商品の中でも世界経済インデックスファンドに対する投資はベターな選択だと考えており、それは今でも基本的には変わっていません。
それでは、それほどまでに気に入っていた世界経済インデックスファンドを、どうして売却してしまったのかと言うと、何を隠そう意外な部分、つまり保有に伴い発生する、信託報酬手数料というランニングコストがネックになったというのが正直な理由です。
将来的な信託報酬コストに対する懸念
最近のインデックスファンドの大半は、ノーロードと呼ばれる購入手数料無料の商品が主流ですが、保有している限り永遠に発生する信託報酬手数料というランニングコストに関しては、私の知る限りほぼ全てのファンドで発生します。
ちなみに、私が投資していた世界経済インデックスファンド(株式シフト型)に関して言えば、バランスファンドの中では比較的低い水準とも言える税込年間0.594%(変更となる可能性があり)の信託報酬が発生しますが、要するにこの0.594%程度の手数料さえも私は許容できなかったということです。
確かに、投資家自身が何もしなくても資産間のリバランスをしてくれたり、組み入れられた株式からの配当金を再投資してくれる手間や手数料も含めた形で0.594%という水準で収まっていることを考えれば、コストパフォーマンスという点では決して悪くはないのかもしれません。
ただ、保有資産が少ない段階であればそれほど気になりませんが、先々一定以上の資産額まで増やすことを前提とした場合の信託報酬手数料の絶対額、さらにはその手数料コストを米国株など他の資産に投資して運用した場合の資産価値を考えてしまうと、どうしても払い続ける決断をすることが出来ませんでした。
信託報酬コストの将来価値試算
信託報酬の率だけを見ると、特別高い印象はありませんが、長期的に老後も継続して保有していくことを考えた場合、運用資産額自体も大きくなり、保有する期間も長くなる可能性が高いため、本腰を入れて投資するのであれば、そこまでを見据えた信託報酬額を踏まえておく必要があります。
例えば、3,000万円分を保有している場合は年間18万円の支払いが発生しますし、仮に5,000万円まで資産が増えてしまった場合には年間30万円もの信託報酬を払うことになります。しかもこれは1年間の金額であるため、老後も含めて20年間保有しようと考えている場合は、単純に30万円 ✕ 20年間=600万円も払うことになります。
現時点では実現できていないかもしれませんが、このブログを見ているような投資リテラシーが高い投資家の方であれば、先々5,000万円以上まで金融資産額を増やせる可能性が高いように思いますがいかがでしょうか?
続いて、運用期間としては現実的にあり得る20年間という期間において、600万円というコストの将来価値を参考までに確認してみましょう。仮にその600万円を平均的な年率リターン6.5%の米国株に投資し、20年間複利で運用した場合に、どれぐらいまで資産額を増やすことができるのか、実際に試算してみます。
以下の通り、30万円の12分の1にあたる月々25,000円を、投資元本0円で、年率リターン6.5%の米国株式に20年間積み立て投資をしたとした場合、最終的にその600万円は約2倍の1,205万円まで増える可能性が高いという結果になります。あくまでも仮想の計算ではありますが、現実にあり得る数字だと言えましょう。
また、今回は信託報酬手数料のみに言及していますが、実際にはそれも含めた実質コストと呼ばれる費用が実際のコスト総額であり、流動的ではありますが世界経済インデックスファンド(株式シフト型)の場合であれば、概ね0.7%前後のコストが発生しているため、影響力はさらに大きくなると考えなければなりません。
私の場合は、その影響の大きさに気付くのに1年かかりましたが、これほどの将来価値を秘めた600万円を、信託報酬というコストとして負担したとしてもなお、世界経済インデックスファンドに投資する意味があるか否かという部分に関しては、いずれにしろ予め踏まえておく必要があるように思います。
最後に
確かに今回の売却プロセスは、私の個人的な価値観に依るものであり、信託報酬を払ったとしても、世界の資産に広く手軽に分散投資したい方や、自分の時間を確保するため、投資に時間をかけたくない方のメリットを考えると、一概にコスト額だけで正解か否かを決められる問題ではありません。
今回比較対象とした、米国株式に投資した場合に関しても、購入時の売買手数料や配当にかかる税金も加味した形で比較しているわけではないため、公平に比較をした場合に、どちらにどれくらいのメリットが出るのか、厳密に証明出来ている訳でもありません。
ただ、確実に言えることがあるとすれば、少なくとも今日書かれているようなことを踏まえないまま、世界経済インデックスファンドをはじめとした信託報酬手数料が発生するインデックスファンドに投資を始めている方は、早い段階で先々まで見据えた投資方針や、コストの許容可否に関して考えてみる必要がありましょう。
いずれにしても、比較的高い水準の信託報酬手数料が発生する、インデックスファンドに投資している方は、この機会に改めて、長期的に投資し続ける前提で、生涯に渡って支払う信託報酬手数料の累計金額について、ご確認いただくことを是非ともおすすめします。
相性の良い米国株(アメリカ株)銘柄に関するまとめ記事を書いてみる
長期的なリターン観点における、相性の良い米国株銘柄の組合せに関するまとめ記事です。先日の記事で、シナジー効果を生む銘柄の組合せに関する成功例を参考までに1組だけご紹介しましたが、実は他にも相性の良い組み合わせは多数存在します。
しかしながら、私の知る限り、そういった相性の良い銘柄の組合せが紹介されたまとめ記事や、スクリーニング機能を使って抽出してくれるような情報サイトが皆無に等しいため、興味深いテーマでありながらも手軽に調べることが難しい状況にあると言えましょう。
そこで今回、私が個人的に備忘録として記録しておいた、相性の良い銘柄に関する情報をご紹介すると共に、今後も発見する毎に随時アップデートして行くことを前提としたまとめ記事ページを作成することにしました。
まとめ記事と言いながらも、現時点ではご紹介できる組み合わせ数は限られていますが、個別株ポートフォリオにおける相性の良い銘柄選びの参考として定期的にご活用いただける記事ページに、気長に育てて行きたいと思います。
相性が良い銘柄とは
本まとめ記事で扱う相性の良い組み合わせとは、長期スパンにおける年率リターン(CAGR)の向上だけにとどまらず、リターン効率を示すシャープレシオ(Sharpe Ratio)も同時に向上するという、2つの条件を同時に満たすことを指しています。
したがって、組み合わせることで年率リターンが大幅に改善したとしても、シャープレシオが下がってしまうような組み合わせは、ご紹介する対象にはならないため予めご了承ください。
それでは早速、30年という長期スパンにおける、配当再投資を前提としたバックテスト結果を通じて判明した相性の良い銘柄の組み合わせを順を追ってご紹介します。
同業種同士の組合せ
まずは同業種編のご紹介です。その名の通り、同じ業種の銘柄を組み合わせた際に相性が良くなる事例をご紹介します。同業種ということで、一般的には個別銘柄リスクの分散を目的として投資されるケースが多いのではないでしょうか?
しかしながら、ここでご紹介するペアに50%ずつ投資することで、個別銘柄リスクを分散できるだけでなく、年率リターンだけでなくリターン効率をも向上させることができるなど、もしかしたら一石三鳥も期待できるかもしれません。
①ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)&ファイザー(PFE)
言わずと知れたヘルスケアセクターの雄同士の組合せです。共に元々13%台と高い年率リターンを残していますが、2種に均等投資することで、14%を超える高リターンに改善します。さらに、シャープレシオに関しても、2銘柄を組み合わせることで0.65まで向上します。特許切れのリスクもあるため、このセクターに関して言えば、単独よりも2種がより無難かつおすすめです。
②マイクロソフト(MSFT)&アップル(AAPL)
ハイテクグロース銘柄の雄同士の組合せです。マイクロソフトが21%、アップルが17%と、桁外れの年率リターンを残していますが、組み合わせることで23%とさらに向上するだけでなく、シャープレシオも0.73と高いレベルまで引き上げられています。この30年で言えば、年率リターン、シャープレシオ共に、世界的に見てもトップクラスのパフォーマンス水準だと言えましょう。
③ペプシコ(PEP)&コカ・コーラ(KO)
続いて伝統的な飲料銘柄の雄同士の組合せです。これらの銘柄は、共に元々12%台と高い年率リターンを残していますが、2種にすることで僅かですが向上します。また、シャープレシオも同様に向上しています。良くも悪くも安定した元来の特性が、組み合わせた場合の改善効果を押し下げてしまっているのかもしれません。
④プロクター・アンド・ギャンブル(PG)&ユニ・リーバ(UL)
日用品銘柄の雄同士の組合せです。こちらの2銘柄に関しても、元々12%前後と高い年率リターンを残していますが、2種になることで僅かに向上しています。一方、シャープレシオも0.62まで改善します。上記飲料銘柄同様、他と比べるとこれらの銘柄の組み合わせ効果には若干物足りなさを感じます。
異業種同士の組合せ
続いて異業種編です。その名の通り異なる業種の銘柄を組み合わせた際に相性が良くなる事例のご紹介です。一般的に複数銘柄のポートフォリオを組む際は、異なる業種同士を組み合わせるケースが多いように思いますが、いかがでしょうか?
景気の浮き沈みのサイクルなど、外部環境の変化に伴い、業種毎に異なる影響が出てくるケースが多いため、それを踏まえた逆相関的な発想で上手く組み合わせることができれば、パフォーマンスを高められる可能性も高いと言えましょう。
①マクドナルド(MCD)&ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
異業種編のトップバッターは、外食産業とヘルスケアセクターの雄同士の組合せです。この2銘柄に関しては、元々13%台後半とかなり高い年率リターンを残していますが、2種にすることで14.53%とさらに改善します。しかも、シャープレシオも0.74と大きく向上しています。前述のハイテクグロース銘柄のペアほどではないものの、トップレベルだと言えるように思います。
②スリーエム(MMM)&プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
資本財と日用品銘柄の雄同士の組合せです。共に11%台後半と高めの年率リターンを残していますが、2種にすることで12.17%まで改善します。さらに、シャープレシオに関しても、0.63と比較的高い水準まで改善させることができています。年率リターン、シャープレシオ共に、インパクトには欠けるものの比較的良好な水準だと言えましょう。
③アルトリア・グループ(MO)&アップル(AAPL)
たばこ銘柄とハイテク銘柄の組合せです。共に17%台後半と、元々非常に高い年率リターンを残していますが、2種になることで、23.63%とさらに向上します。しかも、シャープレシオも0.82と、絶対値としても高いだけでなく、1.2倍以上と大きく改善しています。アップルとの相性は、前述のマイクロソフトよりもアルトリア・グループの方が良さそうです。
④U.S. バンコープ(USB)&ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)
銀行銘柄とたばこ銘柄の組合せ例です。元々、共に14%前後とかなり高めの年率リターンですが、2銘柄を組み合わせることで、15%近くまで引き上がります。また、シャープレシオも0.66と、1.2倍以上改善させることができています。前述のアップルを含むペアほどではないまでも、十分魅力的なパフォーマンスだと言えましょう。
最後に
以上、再現性が期待できる事例ばかりではありませんが、基本的に株価は業績に連動することを踏まえると、 markethack.net より引用した以下の図のような景気や金利など、外部環境の影響によるビジネスの好不調のサイクルが上手く噛み合う銘柄同士の相性が、比較的良くなりやすいような気がします。
また、その業績(株価)面における相反する関係性、つまり好不調のアンバランスを活かし、リターンを補い合う上で重要になってくるのがリバランスであり、今回の事例で言えば、均等割合を維持すべく年に一度のリバランスを前提としている点も、忘れてはならない大切なポイントだと言えましょう。
いずれにしても、冒頭にも書いた通り、本まとめ記事についてはこれで完成ではなく、相性の良い銘柄の組合せ情報を充実させるべく、発見ベースにはなりますが、今後も随時新たな例を追記して行こうと思いますので、今後も定期的に覗いてみて下さい。
高配当株は配当再投資がなければベンチマークを超えられないのか?
高配当株における純粋な株価成長性に関する話題です。高配当株と言うと、一般的には株価の成長は期待できず、高水準の配当金を支払うしか能がない投資対象だと思われがちですが、本当にそうでしょうか?
高配当株であれば何でも良い訳ではありませんが、一般的に高配当株は、株価の成長が期待できない反面、株価変動が少ない特長を活かしながら、配当再投資を通じた株数の増加による資産の成長を図るのに適していると考えられている投資対象だと言えましょう。
過去記事をご覧いただくとお分かりの通り、実際に私自身の保有株も、胸焼けするぐらいほぼ全てが米国を代表する優良な高配当株で構成しており、まさにセオリー通り配当再投資を粛々と実践している状況です。
しかしながら、実は高配当株の投資魅力はそれだけではありません。確かに、配当を使った投資を行うことで飛躍的に旨味が増す投資対象であることは確かですが、実は仮に配当を再投資しなかったとしても十分優秀なパフォーマンスを叩き出す強者です。
そこで今日は、米国を代表する優良な高配当株5銘柄を選び、個別銘柄の特殊事情を排除すべくその5銘柄で組成したポートフォリオを使い、配当再投資を行わない場合における高配当株のポテンシャルを検証してみようと思います。
高配当株サンプル5種のご紹介
まずは、今回例示とする素材について簡単にご紹介します。今回は、米国株投資家にとって馴染みの深い、以下の高配当を誇る優良株5銘柄に20%ずつ均等配分した、個人的にもおすすめに耐え得る高配当株5種を例に確認してみることにします。
①アルトリア・グループ(MO)
②コカ・コーラ(KO)
③プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
④ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
⑤エクソン・モービル(XOM)
冒頭でも触れましたが、いずれも成熟したマーケットでビジネスを展開する伝統的な超大型株であり、マーケットも収益も成長力という意味では期待しづらいため、一般的には株価の成長を期待することが難しい投資対象だと言えます。
仮にそれが事実であるならば、上記銘柄群の強みでもある、支払われた高水準の配当金を使った再投資により持株数を増やさなければ、リターンを得ることが難しい銘柄群だということになるため、早速それが事実か否かを検証してみましょう。
配当再投資を行わない場合における高配当株のパフォーマンス検証
以下にご紹介するグラフは、直近20年間における、前述の高配当株5種(Portfolio1)と、世界のアクティブ投資家がパフォーマンス面でのベンチマークとして参考にしている、S&P500指数連動ETFのSPYに関する、配当再投資を行わない設定でのバックテスト結果です。
※portfoliovisualizer.comにて作成
結果はご覧の通り、直近20年間というスパンにおいては、僅差ではありますが高配当株5種がSPYを上回るリターンを叩き出すことができていることがお分かりいただけるかと思います。もう一度言いますが、配当再投資を行わない設定での結果です。
※portfoliovisualizer.comより抜粋引用
それでは、その他の指標についても確認してみましょう。高配当株5種は、リターンの上振れ幅は小さいですが、シャープレシオからもお分かりの通り、リターン効率の高さ故に、SPYを上回るパフォーマンスを実現できているポートフォリオだと言えそうです。
世界のアクティブファンドの大半が負けると言われているS&P500指数のリターンを、より低いリスクで上回っていることから考えると、仮に配当再投資要素を除いたとしても、高配当株で構成された5種は十分旨味のある投資対象だと言えるのではないでしょうか?
高配当株の強みでもある配当込みリターンの再確認
それでは参考までに、高配当株5種の本領が発揮されるはずの配当込みバージョンについても、念のためこの場を借りてご紹介しておこうと思います。以下は配当込みに変更した以外は先ほどと同じ設定で作成したグラフです。
※portfoliovisualizer.comにて作成
当然ながら、配当再投資を行わなくてもSPYに勝るパフォーマンスは、配当込みにすることでさらにその差が大きく広がることになります。特に5種は、SPYに比べて高配当であるため、基本的には再投資の効果も、時を経る毎に増大することになります。
※portfoliovisualizer.comより抜粋引用
実際に上の表で、年率リターンを示すCAGRを見てみると、配当金を再投資しない場合に比べ、5種が約1.8倍に改善しているのに対し、SPYの改善率は約1.4倍にとどまることから、配当格差がリターンに及ぼす影響力を改めて確認することができます。
前述の通り、配当再投資を行わない場合でも十分なリターンが得られるポートフォリオではありますが、本結果を通じて、高配当株における再投資のインパクトの大きさを、改めて痛感することができましょう。
高配当優良株のすすめ
以上、高配当株の純粋な株価成長力について確認してみました。これまで何となく常識だと思っていたことも、こうして改めて確認してみると、必ずしも事実とは言い切れないことがお分かりいただけるかと思います。
ただ、今回の結果を参考にする上で注意すべきは、今回例示したポートフォリオを構成する銘柄群が、単なる高配当株ではなく、冒頭で触れたように、いずれも高配当株であると同時に配当貴族や配当王といった、世界屈指の連続増配を実現している優良株である点です。
というのも、配当金が増えるということは、単純に配当利回りが上昇するということであり、利回りが高ければそれだけ配当狙いの投資家にとっての投資魅力が増すことになるため、結果的には株価上昇圧力が働き易くなるからです。
いずれにしても、配当再投資を行うことで飛躍的に旨味が増す投資対象ではありますが、仮にそれを行わない場合でも、世界を代表するベンチマークでもあるS&P500指数を上回る株価成長が期待できる高配当株について、改めてこの機会に投資候補に追加されることを是非おすすめします。
バンガードの生活必需品セクターETF「VDC」を構成する全98銘柄を知るということ
シーゲル派の投資家に人気の高い、バンガード生活必需品セクターETF「VDC」の組み入れ銘柄に関する話題です。最初に言いますが、いつも以上に限定された方にしか興味が湧かない内容ですが悪しからず。
実はこの度、ポートフォリオの10%強程度「VDC」に投資することにしたのですが、それに当たり「VDC」についていろいろと調べた際、意外にも組み入れ銘柄という基本的な情報がネット上に不足しており、且つ探しづらいことに気づいてしまいました。
具体的に言うと、「VDC」の構成銘柄に関する情報はあっても、バンガード社の商品情報が書かれたPDFファイルをはじめ、そのほぼ全ての記事が構成比上位10銘柄までしか触れていない、もしくは少し詳しい記事でも上位25銘柄までしか紹介されていないという状況です。
「VDC」の比較対象として、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ社のETF「XLP」がありますが、「XLP」にはない「VDC」の主な特長は、何を隠そう大型株に加えて中小株にも投資している点にあるため、「VDC」を語る上では、上位ではなくどちらかというと下位銘柄の方がより重要な情報だと言えましょう。
そこで今日は、かなり個人的な興味に偏った情報になるかもしれませんが、改めて「VDC」を構成する全ての銘柄リストをご紹介してみようと思いますので、万一私と同じように組み入れ銘柄に関する情報不足でお困りの方は、是非ご参考ください。
組み入れ銘柄の特長
「VDC 」は、バンガードを代表する生活必需品セクターETFであり、その名の通り日用品、飲料、食品、たばこなどを扱う銘柄で構成されています。ジェレミー・シーゲル氏のセクター戦略に習い、ポートフォリオに一定割合組み入れている米国株投資家の方も多いのではないでしょうか?
冒頭でも少し触れた通り、米国の生活必需品セクターに投資可能なETFとしては、「VDC」のほかにSPDR「XLP」がありますが、その主な違いの1つが組み入れ銘柄であり、「XLP」が全33銘柄を組み入れているのに対し「VDC」は98銘柄と、「VDC」の方が組み入れ銘柄数が多くなっています。
端的に言うと、「XLP」は大型株のみを組み入れているのに対し、「VDC」は大型株に加え中型株や小型株も組み入れている点が組み入れ銘柄数が違う理由であり、それに伴い、アルコール飲料や食品卸など、「XLP」に比べて「VDC」は組み入れカテゴリー的にも広がりを持っています。
パフォーマンスに対する影響
それでは続いて、パフォーマンスについても参考までに確認しておきます。以下は「VDC(Portfolio1)」と「XLP(Portfolio2)」について、「VDC」が設定された2004年からの約13年間のリターンを、配当再投資ありの設定でシミュレートしたリターンチャートです。一見同じように見えますが、その違いを細かく見て行きましょう。
※portfoliovisualizer.comにて作成
上のリターンチャートを見るとお分かりの通り、結論から言うと、概ね同じ軌跡でありながらも、明らかに「VDC」の方が上回っています。ちなみに本記事ではご紹介しませんが、配当再投資なしで比較するとより一層リターンの差が広がることになります。
※portfoliovisualizer.comより抜粋引用
上の表の通り、両者には年率リターンベースで0.38%の差がありますが、これはまさに構成銘柄の違いから生まれている差だと言えましょう。というのも「VDC」の方が経費率面で0.03%低いものの0.38%には到底及ばないほか、分配金利回りは「XLP」の方が高いため、構成銘柄以外に「VDC」の優位性を裏付ける理由が見つからないためです。
先にも触れた通り「VDC」には「XLP」にはない中小型株も含まれているため、それら中小型株特有の業績や株価の高い成長性がプラスに働いているか、もしくは成長性の高い新しいカテゴリーが含まれているかのいずれかの要素が、「XLP」を上回る「VDC」のリターンにつながっているのでしよう。
年率リターンだとピンと来ない方は、経費率に置き換えると分かりやすいかもしれません。仮に「XLP」の経費率が現在の0.13%に0.38%加えた0.51%だったとした場合、迷うことなく「VDC」を選ぶことになるかと思いますが、要するにこの期間においては両者にはそのぐらい明白な差があるということです。
全組み入れ銘柄(計98銘柄)
さて、前置きはこのぐらいにして本題に話を進めることにします。以下にご紹介するのが、現時点における「VDC」の全組み入れ銘柄となる計98銘柄のリストです。上位群は見慣れた常連銘柄が並んでいるだけで、概ね「XLP」と変わりません。
〔1位-25位〕
〔26位-50位〕
〔51位-75位〕
〔76位-98位〕
※バンガードサイトより抜粋引用
銘柄についてそれほど詳しくない私でも、36位のキャンベル・スープ(CPB)までは概ね知っている銘柄が並んでいますが、それ以降になるとほとんどが聞いたことがない銘柄ばかりで、米国会社四季報でもフォローしていないだけでなく、ネット証券では取り扱いがない銘柄も多いです。
ただ、下位銘柄群は貴重な情報源でもあります。例えば、65位のブルー・バッファロー・ペット・プロダクツ(BUFF)です。先日ゼネラル・ミルズが買収を決めた高級ペットフードメーカーですが、私自身このリストを見るまでは、「VDC」の構成銘柄にペットフード銘柄が含まれていることを知りませんでした。
生活必需品かどうかは別として、米国のペットフード市場は年率3%〜4%と、今後も着実な成長が期待できる分野でもあるため、それらの銘柄群が含まれている点は、「XLP」にはない「VDC」の中長期的なアドバンテージにもなり得る要素であり、投資家にとっても重要な情報だと言えましょう。
最後に
以上、完全に個人的な興味で調べた「VDC」の全組み入れ銘柄についてご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか。正直なところ、単に全銘柄を知っていたからと言っても、直接的に投資のパフォーマンスが上向くとは限らないため、仮に知らなかったとしても、大きな支障はないのかもしれません。
ただ、個別株派の私にとっては特にそうですが、そもそもETFは分散が効く便利なツールである反面、投資対象がはっきりしない得体の知れない代物でもあるため、組み入れ銘柄の情報は、投資を検討するのであれば誰しもが確認すべき必須事項だと思いますがいかがでしょうか?
というのも、例えば今回のテーマでもある「VDC」と類似した「XLP」のいずれかを選択する際も、単に組み入れ銘柄の数だけでなくその内訳を知ることで、「VDC 」の方が中長期的により高いパフォーマンスにつながる可能性があることを、想像することができるようになるからです。
もし仮に、分散目的でETFを選択する場合でも、銘柄数だけで安心してしまい、組み入れ銘柄の中身という本質的な情報をあまり比較検討することなく投資している方は、この機会にご自身が投資を検討もしくは保有しているETFについて、改めてご確認いただくことを是非お薦めします。
リバランスは個別株においてもリターンの向上を実現する効果的な手段なのか?
個別株における銘柄間のリバランス効果に関する話題です。個別株ポートフォリオを長期的にバイ・アンド・ホールドしている皆さんは、普段リバランスをどの程度活用されていますか?
リバランスと言うと、株式と債券、もしくは無リスク資産とリスク資産など、主にアセット間における話題として取り沙汰されることがほとんどですが、実は個別株銘柄間においてもリバランスは強力なリターンの底上げ効果を発揮します。なぜなら、安く買って高く売るサイクルを実行できるからです。
そこで今日は、具体的な米国(アメリカ)を代表する個別株銘柄の事例をもとに、できる限り分かりやすくリバランスの効果をご紹介してみようと思いますので、これまであまり意識をしていなかった方は、是非この機会にご参考ください。
リバランスとは
個別株におけるリバランス効果を語る前に、まずはリバランスという行為自体の意味について念のためおさらいしてみます。基本的な投資用語でもあるため既にご存知の方も多いかと思いますが、改めてその意味を確認してみましょう。
リバランスとは、ポートフォリオを構築(投資対象を実際に組入れ)した後、相場変動などで変化した投資配分比率を見直し、値上がりした資産・銘柄を売り、値下がりをした資産・銘柄を買い増す、などによって、ポートフォリオの構成を最初と同じ比率に修正していく手法のことです。(大和投資信託ウェブサイトより抜粋引用)
一般的にリバランスは、分散投資におけるリスク調整の意味合いで語られることが多いように思いますが、本記事はリスク調整という観点ではなく、個別株ポートフォリオにおける年率リターンやシャープレシオなど、どちらかと言うとパフォーマンスよりのリバランス効果がテーマです。
リバランスの効果検証
そらでは早速、個別株銘柄間のリバランス効果を確認してみましょう。今回は、各銘柄に投資する以上のパフォーマンスを実現可能な2銘柄ポートフォリオにおける、リバランスの有無別のパフォーマンス比較を通じて確認することにします。
事例①:アルトリア・グループ & アップル
まずは先日の記事でもご紹介した、相性が良好なアルトリア・グループとアップルの2種均等ポートフォリオを用いてリバランスの効果を検証してみます。今回行うバックテストに関しては、1988年からの30年間における配当再投資ありの設定を前提としています。
※portfoliovisualizer.comより抜粋引用
ご覧の通り、年に1度のリバランスを実施することにより得られていた年率リターン(CAGR)やリターン効率(Sharpe Ratio)は、リバランスを実施しないパターンにおいては実現できておらず、それぞれ単体で投資した場合と何ら変わらない水準に下がってしまっていることが分かります。
おそらく理屈の上では理解されていた方も多いかと思いますが、リバランスの有無がここまでパフォーマンスに大きな影響を及ぼすとは思っていなかった方も多いのではないでしょうか?これこそがリバランスの効果です。
事例②:スリーエム & プロクター・アンド・ギャンブル
上記事例①のケースだけを見ても、リバランスがパフォーマンスに及ぼす効果は明らかではありますが、①の事例特有の現象ではないことを確認するため、念のため別の組み合わせでもリバランス効果の有無を検証してみましょう。
2つ目のケースとして検証する対象は、資本財セクターを代表するスリーエムと生活必需品セクターを代表するプロクター・アンド・ギャンブルの組合せです。共に世界を代表する人気優良銘柄でもあるため、投資している方も多いのではないでしょうか?
※portfoliovisualizer.comより抜粋引用
予想通りではありますが、事例①と同様、リバランスをしなかったパターンにおいては、組み合わせることで得られていたCAGRやSharpe Ratioの改善効果がほぼ消えてなくなってしまっていることがお分かりいただけるかと思います。
リバランス頻度別効果比較
本題とは少し異なりますが、参考までにリバランス頻度別のパフォーマンスについても確認してみましょう。以下の表は、上記事例①のケース、アルトリア・グループとアップルの2種ポートフォリオを用いた、1年毎から毎月までの4パターンに関する試算です。
※portfoliovisualizer.comより抜粋引用
上記を見ると、1年に1度のリバランスから頻度が増す毎にパフォーマンスが下がっていくことがお分かりいただけるかと思います。勿論、少なければ少ないほど良いかと言えばそうとも限りませんが、少なくともリバランス頻度を無闇に増やすことは逆効果になる可能性が高いということです。
最後に
以上、個別株ポートフォリオにおけるリバランス効果について、実例をもとにご紹介してみましたがいかがでしたでしょうか?予想していた以上のパフォーマンス向上効果に、多かれ少なかれ驚かれた方も多いのではないかと思います。
当然ながら、リバランスをリターンにつなげるためには、アンバランスの発生、つまり各銘柄が多かれ少なかれ相反する株価を辿る必要があるため、ポートフォリオ構築にあたっては、markethack.net より引用したお馴染みのマップのように、原則異なるセクターの銘柄を保有しておく必要があると言えましょう。
いずれにしても、分散されたポートフォリオにおいては、リバランスを行うことなくパフォーマンス向上を実現することは難しいと言えるため、これまでリバランスを実施して来なかった方は、この機会に効果的な実施方法について、改めて検討されてみることをおすすめします。
株初心者におすすめ|失敗しない株式投資の始め方に関する5つのヒント
株初心者の段階で誰もが一度は悩むことが多い、株式投資の始め方に関する話題です。入門的な内容でありながらも、正解があるようでないテーマでもあるため意見の分かれるところではないかと思いますが、あくまでも私の経験を踏まえたアドバイスを記事にしてみようと思います。
初心者にとって株式投資は、大損しそうで何となく怖いといったイメージが先行しがちですが、実際はそこまで怖がるほど危険なものではありません。ただ、やり方を間違えるとリスクが高まってしまう可能性もあるため、特に株初心者はそれ相応の始め方をする必要があります。
そこで今日は、株式投資に興味がありながらも、どのように始めれば良いのか分からず始められない方や、始めてみたもののやり方に疑問を感じている株初心者の方向けに、特に悩むケースが多いと考えられる5つの観点から、おすすめの始め方のヒントをご紹介してみようと思いますので、是非ご参考ください。
株初心者でも証券会社はインターネット証券がおすすめ
それでは、株式投資を始めるにあたり必要な初口座の開設先、証券会社についての話題です。証券会社を選ぶ上で注意すべきは、株初心者であっても投資に関する助言などの人的サービスを受ける前提で証券会社を選ぶべきではないということです。基本的には株初心者と言えども、投資に絡む全てのことは、自分自身で判断する前提で選びましょう。
というのも、証券会社の担当者もサラリーマンであり、多かれ少なかれ営業目標やインセンティブがあるため、必ずしも投資家にとってベストなアドバイスをするとは限らないからです。また、株式投資に失敗は付き物ですが、仮に失敗した場合でも、自分で決めたことであれば納得し易くなるはずです。
さて、前置きが長くなりましたが、以上の点を踏まえると、やはりおすすめはインターネット系証券会社でしょう。ちなみに私もSBI証券に口座を開設しており、その2口座のみで何年も投資信託だけでなく、日本株や米国株などの株式投資を行っていますが、今のところ全く支障はありません。
中でもおすすめは、SBI証券、楽天証券、マネックス証券といった大手の証券会社でしょう。それら大手であれば、取り扱い銘柄の種類や数、システムの使い勝手、手数料水準などそれほど大きな差はないので、どれを選んでもそれほど大きな差はありません。
初めての投資対象はインデックスファンドがおすすめ
株式投資と言うと、個別株式を思い出す方が多いのではないかと思いますが、株初心者が選ぶべき最初の投資対象は、個別株式でなく、広く分散された株式に投資でき、且つ比較的値動きがマイルドなインデックスファンド(投資信託)がおすすめです。
というのも、株初心者にとって最も注意すべきは、その値動き、しかもどちらかと言うと下振れの動きに対する恐怖心であり、それが原因で株式投資をやめてしまい、二度と足を踏み入れたくなくなる状態に陥らないことだと言えるため、比較的値動きの激しい個別株式では荷が重過ぎるからです。
したがって、まずはインデックスファンドから投資を始め、元本割れや含み益などの資産の増減自体に慣れるステップを小さな規模で経験し、その上でインデックスファンドに物足りなさを感じた方のみ、個別株式、中でも比較的値動きが緩やかな大型株へと移行して行く形が良いでしょう。
但し、インデックスファンドであれば何でも良い訳ではありません。株初心者が手始めに投資するお試し的な役割としてご紹介しましたが、中には個別株式へ移行せず、そのままインデックスファンドのみに投資を続ける方もいることを考えると、長期的にも投資価値のあるファンドである必要があります。
おすすめは、購入手数料がかからないノーロード型、しかも最も重要な信託報酬手数料ができる限り安く、米国もしくは米国を含む世界の株式に投資するファンドです。各社似たファンドを販売していますが、最も信託報酬手数料が安いファンドを選ぶのが秘訣です。
初めての投資用資金は失っても良いぐらい少額がおすすめ
続いて、株の始め方には欠かすことができない資金についての話題です。こればかりは人によって経済的なコンディションが異なるため、一概に妥当な軍資金の額を決めることはできませんが、いずれにせよ投資金額を決める上での考え方はある程度持っておいた方が良いかもしれません。
収入も多く預貯金も十分備えている方は10万円単位、場合によっては100万円単位での投資も可能かもしれませんし、生活費や教育費など余裕がない世代の方などは、1000円単位から数万円程度しか充てられない場合もありましょう。
先ほども少し触れた通り、初めての株式投資では、リターンを狙うというより、株式投資というもの自体に慣れるステップを踏む必要があるため、必ずしも大きな軍資金を用意する必要はありません。その意味では、一般的にも言われる通り、無くなっても良い程度の金額での投資がおすすめです。
なお、無くなっても良い金額も投資家毎に異なり、中にはかなり少額しか投資することができない方もいる可能性がありますが、その場合でも投資対象がインデックスファンドであれば、最低100円からと缶コーヒー程度の少額投資が可能なため、投資可能資金額が問題になることはありません。
本での勉強以上に実体験を通じた生きた知識の習得がおすすめ
予めお伝えしておくと、株式投資をより上手く活用して行く上では、ベテランになっても勉強は非常に大切であり不可欠だと言えます。もちろん、そういう私もまだ未熟な身でもあるため日々勉強している状況ですし、今後も生涯勉強を継続して行くつもりでいます。
しかしながら、株式投資を始める上で、必ず何かを勉強しておく必要があるかと言えば、結論から言うと特にありません。もちろん投資本の類を読んでおいて損はありませんが、株初心者にとって最も必要なことは知識ではなくリアルな経験だと言えるため、読まなくても特に差し支えはないでしょう。
もし読むのであれば、インデックスファンドによる予行練習を終え、個別株式への投資に移行し、成功も失敗もある程度重ねた上で読んだ方が良いでしょう。実際に経験している分、イメージもし易いでしょうし、理解も進みやすくなるに違いありません。
なおこの時期、つまり株式投資を始めて間もないタイミングで読むのであれば、一発逆転的なテクニック本ではなく、初心者には若干難しく感じるかもしれませんが、株式投資の本質的な部分に触れられているような良書を、調べながら理解できるまで何度も読み込まれることをおすすめします。
初期段階はタイミングを気にせず一括投資がおすすめ
最後は、株の始め方を語る上で避けては通れないであろう、投資タイミングや資金の投下方法についての話です。具体的に言うと、株価が下がったタイミングで投資を始めるべきか、さらには一括投資か積立投資か、という株初心者だけでなくベテランも含めた永遠のテーマとも言える悩ましい疑問です。
結論から言うと、株初心者の段階でのトライアル投資においては、タイミングを考える必要はなく、投下方法も一括投資で構いません。なぜなら、投資対象のパートでも書いた通り、はじめの段階はリターンというよりは、株式投資を理解することを目的としているため、仮に割高なタイミングでの投資を通じて含み損に陥ったとしても、それもある意味貴重な教材になるからです。
もちろん、一般的には含み損にならなければならないに越したことはありませんが、株初心者にも関わらずあまりに上手く運んでしまうと株式投資の良い面しか経験できず、後々大きな失敗につながってしまう可能性もあるため、個別株式へ進むための準備段階として、早い段階で厳しい面を経験した方が良いとも言えましょう。
但し、この考え方の大前提は、あくまでも無くなっても良い金額の範囲内で行っている、相場に対する理解を深めることを目的とした初期段階に限った話であり、先々リターンを得ることを目的として投資する段階では、タイミングは重要になってきますし、積立投資も有効な手法だと言えるため、常に有効な考え方ではない点にはくれぐれもご注意下さい。
最後に
以上、株初心者におすすめの失敗しないための株式投資の始め方について、5つの観点から私なりの経験も踏まえたヒントをご紹介してみました。中には個人的な好みに過ぎないものもあるのかもしれませんが、参考にしていただけそうな内容もご紹介できたのではないかと思っています。
書店に行くと、株式投資に関する初心者向けの入門書的な書籍が所狭しと並んでおり、もちろん良書と言われるものも多々ありますが、私の経験上最も血となり肉となったのは書籍から得た知識ではなく、やはり成功はもちろん失敗も含めた実際の投資経験を通じて得られたものに他なりません。まさに株式投資は「習うより慣れろ」です。
現時点で、株式投資に興味はあるものの、具体的な始め方が分からないために二の足を踏んでいる方や、始める前段階である程度の知識が必要だと勘違いして、手当たり次第に株式投資本を読み漁っているだけの株初心者の方は、今日ご紹介した始め方を参考に、まず始めてみることをおすすめします。
米国会社四季報を購入する必要性を感じない3つの理由
米国株投資家であれば、知らない人はいないほどメジャーな情報源でもある米国会社四季報に関する書評的な話題です。このブログをご覧になっている方であれば、恐らく一度は購入されたことがあるのではないでしょうか?
もちろん私自身も過去購入した経験がありますが、確かにある程度まとまった数の米国企業の情報が集められた書籍は四季報のみであり、とりわけ目的や銘柄のあてがない場合には、紹介されている銘柄の中から新たな銘柄を発掘することも可能になるため、その意味では貴重な情報源だと言えましょう。
米国株投資家ブログを見ていても、アフィリエイトの関係からかどうか定かではありませんが、米国会社四季報を高く評価しているケースが多く、中には “ 米国株投資家のバイブル ” といったような表現で紹介されている記事も少なくありません。
しかしながら、正直私自身はそういった四季報の評価に対して若干疑問を覚えています。というのも、米国株に投資する上で四季報が不可欠であるとも思えませんし、むしろどちらかと言うと、そもそも購入する必要性さえ感じないと言っても過言ではないからです。
そこで今日は、私が米国会社四季報の必要性を感じていない3つの主な理由についてご紹介してみたいと思いますので、現在もしくは今後四季報の購入を検討している方は、購入する前に是非参考にしていただければと思います。
米国会社四季報とは
米国会社四季報とは、ニューヨーク証券取引所及びナスダックに上場している米国株約700銘柄、さらには日本で売買可能な米国上場ETF(上場投資信託)約300銘柄の情報が、1冊にまとめられた書籍です。日本企業版の四季報はよくご存知かと思います。
ビジネス関連の書籍を主に出版している東洋経済新報社から、1年に2回(春夏号/秋冬号)発売されており、価格については書籍が税込み3,300円、電子書籍で2,970円と、人によって意見は分かれるところかと思いますが、他の書籍と比べても若干高めとも言える価格設定です。
以下のサンプルページ画像の通り、主要超大型優良株約100銘柄に関しては、事業や業績の概況をはじめとした幅広い情報が紹介されていますが、残念ながらそれ以外の約8割を占める大中型銘柄に関しては若干情報量が少なく正直物足りなさを感じます。
※「東洋経済ONLINE STORE」掲載のサンプル画像を引用
また、冒頭でも触れた通り、ETF銘柄の情報も掲載こそしてはいますが、残念ながら情報の絶対量がかなり少なく、惰性感さえ感じてしまいます。この程度の情報を載せるぐらいであれば、ページ数を削って価格を下げるか、もしくはこの分を個別企業情報に充てた方が良いような気がします。
米国会社四季報の必要性を感じない3つの主な理由
それでは、お待ちかねの本題、つまり四季報不要論に話を進めます。ポートフォリオの紹介記事をご覧いただくとお分かりの通り、ほぼすべての金融資産を米国株として保有する私が、米国会社四季報を必要としない理由としては、主に以下の3つに集約することができます。
①掲載情報の大部分は無料で入手可能
1つ目は、米国会社四季報の存在意義を根底から覆すような理由です。確かに単体として考えれば有益な情報源であることは事実ですが、先のサンプルページ画像をご覧いただくとお分かりの通り、実際にはその掲載内容の大半は、四季報以外の情報源からも入手することができます。
恐らく口座を持っていれば、証券会社のが提供している銘柄情報でも大半は無料かつより新しいものを入手できますし、英語表記ではありますが米国モーニングスター社のサイトや各銘柄のウェブサイトでも普通に入手可能です。
つまり、四季報が無料冊子であれば話は別ですが、上記の通りほぼすべての情報を無料で入手できるにも関わらず、3,300円という決して安くないお金を払ってまで、敢えて四季報を購入する必要性を感じないというのが、最も大きな理由だと言えましょう。
②掲載されている銘柄が意外に少ない
冒頭でもご紹介した通り、四季報には、600件を超える数多くの銘柄情報が掲載されています。一見600件以上と言うとかなり多い印象を覚えるかもしれませんが、以下に挙げたほぼ全ての業種を網羅した数でもあるため、その大半が大型株であり、業種単位で見るとそれほど多い印象はありません。
《掲載業種一覧》
- エネルギー
- 素材
- 資本財
- 運輸
- 自動車・自動車部品
- 耐久消費財・アパレル
- 消費者サービス
- メディア
- 小売
- 食品・生活必需品小売り
- 食品・飲料・たばこ
- 家庭用品・パーソナル用品
- ヘルスケア機器・サービス
- 医療・バイオ・ライフサイエンス
- 銀行
- 各種金融
- 保険
- ソフトウェア・サービス
- ハードウェア・情報機器
- 半導体・半導体製造装置
- 電気通信サービス
- 公益事業
- 不動産
そのため、確かに全ての業種の銘柄に興味がある方にとっては、網羅的に調べられる点がメリットなのかもしれませんが、私のようにある程度投資先の時価総額規模や業種が絞られている方にとって、四季報は情報量が意外に少なく正直物足りません。
実際に、過去私が購入した四季報も、評判に釣られてとりあえず買ってはみたものの、蓋を開けてみると意外にも読みたい箇所が少なかったため、結果的にはほんの一部しか読まずに本棚に眠る羽目になってしまいました。
③配当再投資戦略に目新しい銘柄は不要
最後はある意味私特有の理由かもしれません。投資方針の記事をご覧いただくとお分かりの通り、私は株主還元に積極的な歴史もある大型優良銘柄に対する配当再投資を軸としているため、投資先はある程度限定されます。
しかも、そういったメジャーな優良大型株であれば、関連サイトやブログなども含め、世の中に出回る情報ソースも多数存在するため、敢えて四季報に頼らなくても、必要十分な質と量の情報を比較的簡単に入手することができます。
つまり、比較的メジャーな大型株を物色対象とする私にとっては、四季報以外にも十分な情報源を確保できるほか、そもそもあまり話題に上らないような銘柄を探す必要もないため、四季報のメリットであるはずの網羅性は、私にとって無用の長物でしかないということです。
最後に
以上、私が米国会社四季報を必要と感じない3つの主な理由についてご紹介してみましたがいかがでしたでしょうか。冒頭でも触れた通り、必ずしもすべての方に当てはまるものばかりではなく、私特有の理由も含まれていることでしょう。
ただ、インターネットを通じて無料の情報源がこれだけ普及している現状においては、米国会社四季報は、ブログなどで賞賛されるほど際立つ価値のある情報を提供している訳ではなく、さらにコストパフォーマンスの点においても疑問を感じざるを得ません。
誤解があるといけないので念のためお伝えしておきますが、決して私は米国会社四季報自体が価値のない情報だと言っている訳ではなく、ここまでの説明でも度々触れている通り、あくまでも数ある情報源の中での相対的な評価やコストパフォーマンスの話だとご理解ください。
いずれにしても、ブログなどの評判をきっかけに、米国会社四季報の購入を検討している方は、今日ご紹介した掲載されている情報の中身を踏まえた上で、まずは本当に購入する価値のある情報源か否かについて、改めてご確認いただくことを是非おすすめします。
長期投資におすすめの米国株(アメリカ株)銘柄の条件は結局この2つしかない
長期投資に適したおすすめの米国株(アメリカ株)銘柄の条件についての話題です。あくまでも長期投資が前提ですが、米国株に限らず、ある意味確実に高いリターンが期待できる銘柄に共通する原理原則だと言えます。
これまでも、様々な専門家や米国株投資家が発信してきた馴染みのある話題ではあるものの、残念ながらおすすめ理由が具体的でなかったり、専門的で難しかったりするものも多く、銘柄選びに苦慮してしまう米国株初心者の方も多いのではないでしょうか?
そこで今日は、株式投資を始めて間もない初心者の方でも分かりやすいように、長期投資先としておすすめの米国株(アメリカ株)銘柄の条件について、できる限り具体的かつシンプルな形でご紹介してみようと思います。
長期投資に適したおすすめの米国株(アメリカ株)銘柄とは
このテーマにおける前提としては、数多くの米国株投資家から絶大な支持を得ているジェレミー・シーゲル氏が、著書「株式投資の未来」の中で唱えているように、あくまでも長期的にはキャピタルゲインではなく、配当がリターンの大半を生みだすという説を正と仮定します。
1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累積リターンの97%は、配当再投資が生み出してきた。値上がり益が生み出した部分は3%にすぎない(「株式投資の未来」より引用)
それが事実であるならば、端的には長期的に株主が受け取る配当金の総量が最大になる企業が、最もおすすめすべき銘柄だと言うことができましょう。但し、ここで注意しなければならないのはその期間です。なぜならば、数年単位なのか数十年単位なのかで配当金のランキングも変わってくるためです。
つまり言い換えると、数十年レベルの長期スパンにおいて、できる限り高水準かつ長く配当金を払い続けられる米国株(アメリカ株)が、長期投資先としておすすめの銘柄だということになりますが、それでは具体的にそれはどのような銘柄なのでしょうか?
長期投資向けの米国株(アメリカ株)銘柄に共通する2つの条件
細々言い始めるときりがなくなりますが、上記のような長期投資に適した銘柄に備わっているであろう条件とは、結局のところ以下にご紹介する2つ、つまり利益(フリーキャッシュ)と株主還元度合いに集約されると言えましょう。
①高水準な利益が長期的に継続すること
当然ながら、どのような銘柄であっても配当金の原資は利益であるため、いくら売上が大きくても、あるいは急激に売上が成長していても、利益が少ないもしくはマイナスの状態の銘柄では、そもそも長期投資の対象としておすすめすることはできません。
しかも、単に利益があるだけでは不十分であり、実際に配当金をキャッシュという形で株主に支払う必要があるため、利益の中でも制約のない自由度の高い利益、つまりフリーキャッシュをできる限り多く確保可能な銘柄であることが重要です。
フリーキャッシュの程度を決める要素が何かと言えば、借入の返済、事業を継続する上で発生する設備投資など、事業を営む上で必要になるコストの金額であるため、それらをできる限り必要としない事業を営む銘柄を選ぶのが良いということになりましょう。
例えば、130年以上もの長い間変わらない商品を売り続け、変える必要がないが故に無用な設備投資を必要としない低コスト事業の代表格、コカ・コーラ株を通じて呆れるほどの財を手に入れたウォーレン・バフェットも次のような名言を残しています。
成長に大量の資本を必要とするビジネスと、成長に資本を必要としないビジネスとでは天と地ほどの差が存在する(ウォーレン・バフェット)
家計で考えるとより分かりやすいかもしれません。どんなに年収が高くても、必ず発生してしまう家賃、ローン、食費などの必要経費が人並み以上に多ければ、自由に使えるお金がほとんど残らないという状況になってしまいます。
また、フリーキャッシュが潤沢であっても、その状態が短期間しか持続しないようでは、長期スパンにおける配当金の絶対量が増えないため、フリーキャッシュが潤沢な状態を長期的に維持し続けられるか否かも同時に重要なポイントだと言えます。
要するに、長期投資先としておすすめの銘柄は、利益の源泉となる事業自体が設備投資などのコストをあまり必要とせず、しかも景気や時代の移り変わりなどの外部環境に左右されづらい、所謂生活必需品を提供する事業を営んでいる必要があると言えましょう。
②株主還元に積極的な経営方針を持つこと
配当金の原資であるフリーキャッシュが潤沢であるだけでは、実のところおすすめの銘柄としては十分とは言えません。というのも、例え潤沢なフリーキャッシュを確保できても、それを株主還元に使わない銘柄では、株主にとっては何の意味もないからです。
では、十分な利益およびフリーキャッシュを稼ぐことができていながらも、株主に配当として還元しない場合というのがどのようなケースかと言うと、考えられる代表的なケースには主に以下の2つのパターンが挙げられます。
一つ目は、そのキャッシュを新規事業に投資してしまうパターンです。アマゾン・ドットコムをはじめとしたグロース株などに見られるように、配当金として還元する代わりに新規事業に対して投資することで、さらなる事業の成長につなげようとする形です。
そしてもう一つは、内部留保にまわしてしまうパターンが挙げられましょう。徐々に変わりつつあるように思いますが、いまだに日本株における内部留保を重視する姿勢は健在であり、利益を生んでいてもそれを配当金として還元せず、内部留保としてストックする形です。
先日財務省が発表した2016年度の法人企業統計を見ても明らかで、企業が得た利益から株主への配当などを差し引いた利益剰余金(金融業、保険業を除く)は、前年度よりも約28兆円多い406兆2348億円と過去最高を更新しています。
つまり、フリーキャッシュが潤沢であることに加え、経営方針としても配当金をはじめとした株主還元に対して積極的な姿勢を持つ銘柄か否かも、長期投資先としておすすめに値する銘柄か否かを判断する上では、フリーキャッシュと同じかそれ以上に重要な意味を持つということです。
個人的におすすめの米国株(アメリカ株)24銘柄のご紹介
掻い摘んで言えば、上記の2つの条件を共により高いレベルで満たすであろう米国株(アメリカ株)が、長期投資の対象として価値が高いおすすめの銘柄ということになりますが、それでは具体的にそれはどのような銘柄なのでしょうか?
ここ最近、著名投資家だけでなく、個人投資家にも人気の高い、アマゾン・ドットコムやアルファベット、さらにはフェイスブックなどの成長著しく注目度の高いグロース株などは、おすすめに値する銘柄だと言えるでしょうか?
残念ながらそうは思いません。というのも、これらの銘柄群は配当金を払わずに事業投資を優先する傾向にあるほか、常に変化に乗り遅れることなく技術革新を続ける必要があるなど、栄枯盛衰が激しい世界でもあるため、長期的な利益の継続性に難しさを感じるからです。
それでは、配当金が重要だとするならば、高配当ディフェンシブ株として有名な通信セクターの代表格、AT&Tやベライゾン・コミニュケーションズについては、今日ご紹介したおすすめの銘柄の定義に合致するでしょうか?
確かに、高配当株であるという点では要件は備えているものの、これらも当てはまるとは思いません。なぜなら、通信事業は常に多額の設備投資が必要であり、長期的に生み出されるフリーキャッシュの絶対量が相対的に少なくなる可能性が高いからです。
それでは、どのような銘柄が長期投資先としておすすめなのかと言うと、私のポートフォリオにも表現されている通り、フリーキャッシュと株主還元という2つの条件を共により高いレベルで満たすであろう、生活必需品やヘルスケアセクターに属する米国株(アメリカ株)だと考えます。
中でも、最もおすすめの株を敢えて選ぶとすれば、やはり長期投資の対象として必要な要素を高いレベルでバランス良く備えていると考えられる、優等生的存在のプロクター・アンド・ギャンブルでしょう。何よりもこれまでの歴史が全てを物語っています。
もちろん、プロクター・アンド・ギャンブル以外にも、長期投資に耐え得るおすすめの米国株(アメリカ株)銘柄は多数存在しています。それでは、中でも特におすすめしたい有望株を以下に紹介してみようと思いますので、この機会に併せてご参考ください。
(順不同)
【K】ケロッグ
米国食品メーカー。主にシリアル、クッキー、クラッカー、焼き菓子、シリアルバー、フルーツスナック、冷凍ワッフル、ベジタリアン向け冷凍食品などを扱う。主要製品は「ケロッグ」「プリングルス」など。
【KMB】キンバリー・クラーク
米国の日用品メーカー。紙おむつ、小児・水泳用の紙パンツ、生理用品、失禁用衛生用品、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどを扱う。主要製品は「ハギーズ」「クリネックス」「スコット」など。
【HRL】ホーメル・フーズ
【ABBV】アッヴィ
米国の医薬品メーカー。アボット・ラボラトリーズから研究開発医薬品部門が分離独立。主要製品は「ヒュミラ」「ヴィキラ」「インブルビカ」など。シーゲル銘柄。
【BMY】ブリストル・マイヤーズ
米国の医薬品メーカー。鎮痛剤「バファリン」で有名。現在は新薬開発が事業の軸。主要製品は「オレンシア」「エリキュース」「オプジーボ」など。シーゲル銘柄。
【JNJ】ジョンソン・アンド・ジョンソン
米国の医療品・医療機器メーカー。新薬や消費者向け製品に加え、医療機器事業にも強く世界首位を誇る。主要製品は「バンドエイド」「リステリン」「インボカナ」「ステラーラ」「レミケード」など。
【ABT】アボット・ラボラトリーズ
米国の医薬品・医療機器メーカー。栄養食品やエスタブリッシュ医薬品に加え、セント・ジュード・メディカルの買収により医療機器事業が主軸に。主要製品は「シラミック」「ペディアシュア」など。シーゲル銘柄。
【MDT】メドトロニック
米国の医療機器メーカー。主に心疾患、糖尿病などの慢性疾患向けの各種医療機器や手術支援システムを扱う。ペースメーカーでは世界首位。中でも電池式体外型心臓ペースメーカーに強み。
まとめ
確かに、短期的には株価は需給で決まるため、人気の有無により大きく左右されるものの、長期的には、外的環境に左右されない着実な事業とそこから生み出される利益、さらには積極的な株主への還元姿勢が重要な鍵を握っている、というのが今の時点での私の見解です。
その意味で、今日ご紹介したおすすめの米国株は、投資の醍醐味とも言えるキャピタルゲインが期待できない極めて退屈な銘柄群ではあるものの、過去の実績を見る限り将来的には呆れるほどのリターンを生むことが期待できる、おすすめの銘柄群だと言えましょう。
冒頭でも挙げた長期投資家のバイブル、ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」で紹介されている銘柄も多数含まれていますが、今のところこれ以上長期投資に適した魅力的な銘柄群はありませんし、おそらくこの先も当分出てくることはないでしょう。
米国株(アメリカ株)への長期投資をこれから始めようとしている親しい初心者の方が、具体的な銘柄についてアドバイスを求めてきたとしたら、皆さんであれば、どのような点に注目し、具体的にどのような銘柄をおすすめしますか?
アーリーリタイア(早期リタイア)はできるのにしないという選択肢も悪くない
サラリーマンの憧れでもあるアーリーリタイア(早期リタイア)に関する話題です。アーリーリタイアに関しては、必要な準備や貯蓄額などの資金に関する情報を中心としてネット上に散乱しているため、今日は別の観点から考えてみます。
サラリーマンの誰もが一度は憧れる存在であり、具体的に目指す方も多いですが、大抵の方の場合は手が届きづらい、言ってみればアイドルのような存在でもあるため、いざ手が届いた後、つまりアーリーリタイア後の生活を具体的にイメージできている方は少ないような気がします。
もちろん私もその1人であり、実現にはほど遠い状況でもあるためあくまでも想像でしかありませんが、仮にアーリーリタイアが実現できる状況になったとしても、実は今と同じサラリーマンを続けることに、もう1つの意外な価値が潜んでいるのではないかと思い始めています。
そこで今日は、アーリーリタイアに関する少し変わった考え方をご紹介してみようと思いますので、既に資産形成などの準備を始めているサラリーマンの方は、最終的に後悔や失敗しないためにも是非この機会にご参考ください。
サラリーマンの憧れ「アーリーリタイア」とは
アーリーリタイアメントの略称、アーリーリタイアとは早期退職と同義の言葉であり、基本的にはサラリーマン、つまり会社勤めの方向けの概念です。例えば、個人事業主や専業主婦には、そもそも退職という概念自体が一般的でないことからも、お分かりいただけるかと思います。
アーリーリタイアには一般的に、完全リタイアとセミリタイアの2通りあり、完全リタイアはその名の通り仕事を全くせずに生活する形、一方セミリタイアは、アルバイトやパートタイマーなど、少ないながらも労働収入を得ながら生活することを指すものです。
いずれの場合も、目的は人それぞれであり、それがどんな内容であったとしても正解も不正解もないものではありますが、少なくとも何らかの動機により定年を迎える前に会社勤めを辞める行為が、共通するアーリーリタイアの定義だと言えましょう。
アーリーリタイアを志すサラリーマンの主な動機について
さて、それでは早速本題へと話を進めますが、それにあたってまずはアーリーリタイアを志すサラリーマンの動機について考えます。あくまでも憶測ですが、そもそもアーリーリタイアを志す主な動機には、労働自体からの解放に対する願望よりも、会社組織自体に対する拒絶反応が大きく影響しているような気がします。
つまり具体的には、合理性のない会社決定の数々、尊敬に値しない言動の目立つ上席者の存在、度重なる意図の見えない理不尽な指示、そして何よりも違和感を感じながらも、大した反論もできずにそれに従う自分に対する葛藤にも似た拒否反応であり、会社勤めをしている限り、どの会社組織でも多かれ少なかれ存在する状況だと言えましょう。
というのも、そもそも仕事自体はまんざら悪いことばかりではなく、同僚と力を合わせて何かを成し遂げるプロセス、目標を達成する喜び、さらには周囲から認められる充実感など、先に挙げた余分なものさえなければ、サラリーマン業は有意義な営みであるはずだからです。
アーリーリタイアを実現できるのにしない選択肢の価値
一般的には労働からの解放といったニュアンスの強いアーリーリタイアですが、仮に理不尽な会社組織に迎合しなければならないフラストレーションが動機ならば、アーリーリタイアも可能な経済力を持ちながらサラリーマンを続けるという選択肢にも、一定の価値が存在するはずです。
つまり、合理性のない施策や理不尽な指示に対しては遠慮なく反論もしくは納得できるまで説明を求める、さらには尊敬に値しない言動をする上席者に対しては遠慮なく改善フィードバックを行うなど、アーリーリタイア可能な資力があれば、サラリーマンであっても望ましいあるべき形を追求することは十分可能だということです。
また、冷静に考えてみて下さい。意外に軽視されがちなサラリーマンの特権、つまり福利厚生、退職金、厚生年金などはもちろん、人間ドックなどの定期健康診断などのメリットが意外に多く存在するほか、安定した給与収入を安易に手離すべきではありません。
こういったサラリーマンならではのメリット群は、空気と同じように普段あまり意識することが少なく、アーリーリタイアした後にその金銭的な価値に気づく可能性が高いため、後悔しないアーリーリタイアを実現する上では特に注意が必要でしょう。実際に全てを自分で賄おうとすると結構高くつくはずです。
仮に先に触れたようなフラストレーションの少ないサラリーマン生活が実現できるとするなら、特別な目的もなくアーリーリタイアを実現し、暇を持て余したり適当なパートで働くだけの不毛な生活を送るよりは、金銭的なメリットも多く充実した価値のある人生につながる可能性が高いように思いますがいかがでしょうか。
アーリーリタイアできるだけの資産形成はお早めに
以上、アーリーリタイアの目先を変えた活用法についてご紹介してみました。一般的にはアーリーリタイアを実行する前提での情報が大半を占める中、ある意味イレギュラー的な内容でもあるため、新鮮な気づきにつながる部分も少なからずあるのではないかと思います。
最終的に、アーリーリタイアを実行するかどうか、さらにはすべきか否かについては年齢によっても違いますし、独身者か既婚者かなど、置かれた状況や立場にもよるため一概には言えませんが、まずはアーリーリタイアを実行できる収入源、つまりお金を生む資産を持たなければ何も始まりません。
いずれにしても、準備は早ければ早いに越したことはありません。アーリーリタイアを志しながらも、まだ具体的な準備に着手されていないサラリーマンの方は、この機会に株式の配当金収入でもブログ収入でも、まずは実現可能な確固たる収入源となる資産を作るべく、一日も早く準備を始められることを是非おすすめします。
グロース株投資が大きく儲からない決定的な理由とは
グロース株投資で大きなリターンが得られづらい理由に関する話題です。予めお伝えしておくと、グロース株投資を批判する記事ではなく、グロース株投資で大きく儲ける上での障害や注意点についてお伝えすることを目的とした記事だとお考えください。
私の投資スタイルを大きく変えるきっかけとなった書籍、ジェレミー・シーゲル氏の著書「株式投資の未来」の中でも語られている通り、実際に正しいか否かは別として、一般的には成長する企業に投資することが大きなリターンを生む秘訣だと考えられています。
かつて私も同じ考えを持っており、テンバガーまたはそれ以上を夢見て、グロース株に長期投資しようとしていた時期がありましたが、結果的にグロース株投資で大きく儲けることが非常に難しいことのように思えたため、グロース株投資から足を洗い、米国の優良ディフェンシブ銘柄への長期投資に軸足を移すことにしました。
そこで今日は、グロース株投資で大きく儲けることが難しい理由について、あくまでも私の個人的な見解をご紹介してみようと思いますので、現在もしくは今後、グロース株投資で一山当ててやろうと考えている投資家の方は、是非この機会に参考にしていただければと思います。
グロース株とは
まずは簡単にグロース株についてのおさらいから始めましょう。グロース株は成長株と呼ばれることも多く、その名の通りその企業の事業展開やその企業がターゲットとしている市場の成長性などから判断した際に、将来的な業績の成長が期待される銘柄群のことを言います。
一般的には、売上や利益が期を追うごとに増え、将来的にもさらなる成長が期待できる銘柄であることが多く、売上や利益が成長している間は株価指標が割高でも株価は伸び続けるものの、伸びなくなった途端に急ピッチで利益確定が進むため、他の銘柄群よりも高い株価急落リスクを抱えています。
また、成長性が肝であるが故に、グロース銘柄群の株主還元の形は専ら事業への投資、つまり稼ぎ出したキャッシュを新規事業や事業の拡大のために投資する必要があるため無配当銘柄が多く、基本的にはキャピタルゲインのみが投資家の目的だと言えましょう。
アマゾンに見るグロース株投資のポテンシャル
さて、グロース株というと皆さんはどのような銘柄を思い出しますか?おそらく、このブログをご覧になる方には、米国株投資家の方が多いのではないかと思いますので、今日は米国を代表するグロース株銘柄の事例として、アマゾン・ドット・コム(AMZN)を取り上げてみたいと思います。
それでは早速、毎度お世話になっている www.portfoliovisualizer.com にて作成した、直近20年間におけるアマゾン・ドット・コム(Portfolio1)と、S&P500指数連動ETFのSPYのリターンを比較したリターンチャートにて、これまでの株価成長の軌跡を確認してみましょう。
2000年代の初め頃に大きく下落しているものの、以降は直近までの約15年間、多少の凸凹はありながらも一貫して急こう配の右肩上がりが続いており、まさにグロース株銘柄らしい力強いリターンを実現できています。
具体的なリターンを見ると、結果的には1998年に投資した10,000ドルが3,540,129ドルまで増えたことになるため、当時アマゾンにある程度の資金を投資し、長期で保有し続けることができた投資家がいたとしたら、今頃はかなりの大金持ちになっていることでしょう。
グロース株に投資する投資家に共通する特長とは
さて、次にグロース株群に好んで投資する個人投資家の特長について触れてみたいと思います。一般的にどのような投資家が、アマゾン・ドット・コムのような株価の飛躍的な成長に期待するグロース株銘柄に対して投資する傾向にあると思いますか?
おそらく、多かれ少なかれリスクを負ったとしても、グロース株投資を通じて短期間のうちに人生や生活を一変させたいと考えている人達でしょう。例えばサラリーマン投資家であれば、今勤めている会社や仕事が嫌で仕方なく、株式投資で大きく儲けて一刻も早くアーリーリタイアしたいと思っている人などです。
その他には、例えば高級マンションや高級外車など、どうしても手に入れたい高価なモノがあるものの、普通に働いていては買うことができないため、株式投資により大きく儲けることで購入したいと目論んでいる人も少なからずいるのではないでしょうか?
つまり共通する特長は、大きく儲けたいという野望を持ち、かつ短期間のうちに成果を出すことを目論んでいる点だと言えましょう。というのも、長期でも構わなければ、配当金など収入もなく株価の上昇だけを狙うグロース株よりも、配当再投資を軸とした投資の方がはるかに儲けられる可能性が高いからです。
利益確定を急いでしまう人間ならではの心理的メカニズム
さて、それではなぜ私がグロース株で儲けることが難しいと考えるのか、という本題に移りたいと思いますが、掻い摘んで言えば、先に挙げたグロース株の特徴と投資家の特徴が相乗効果となり、長期保有を阻害してしまうためです。
冒頭で触れたように、グロース株はその名の通り成長しなければ投資する価値がなく、一度でも成長が鈍った段階で即座に株価が大きく下がることになるため、投資家は常にネガティブリリースや経営状態を注視し、売却するタイミングを見逃さないようにしなければ、利益を棄損してしまいます。
改めて先ほどのアマゾンのリターンチャートを見てみましょう。確かに、2000年代初めに下落して以降は順調に上昇し続けているものの、1990年代の終わりから2000年初めにかけて、大幅上昇とそれを帳消しにしてしまうほどの大幅下落が発生していますが、それを見た投資家は果たしてどのような行動を取るでしょうか?
結果的にそれ以降は右肩上がりが長期的に続くことになりますが、そういう状況下においても常に過去と同じような下落のリスクを感じながら投資し続けることになるため、少しでもネガティブな要素が発覚したり、株価の下落が続いたりした場合には、利益確定のために一旦手放すという行動に出るはずです。
しかも、短期間で人生や生活を一変させたいと考える短期志向のグロース株投資家であれば、なおさら機会損失に対する意識が高く、投資資金を有効に活用して儲けにつなげようと考える傾向にあるため、早々に見切りをつけて他のグロース株に資金を移すことを考えるに違いありません。
まとめ
要するに、長期で保有することができれば大きなリターンが得られるにも関わらず、実際にはリスクが高いが故に、大半が比較的薄利で売却したくなる欲求に駆られてしまい、長くホールドし続けることが難しいメカニズムが働くため、グロース株銘柄で大きく儲けることは簡単ではない、というのが私の見解です。
また、もう一つ大きく儲けづらい理由の一つに、実際には相当追い込まれた投資家でもない限り、リスクの高いグロース株に対して多額の投資資金をつぎ込もうとは考えないため、少額の投資に止まるが故にリターンに関しても比較的少額になりやすいということも挙げられましょう。
投資家ブログでも、テンバガー達成の報告記事を見ることがありますが、そういったケースの大半が、多数の銘柄に少しずつ分散投資している中の一つであることが多く、結果的にテンバガーを達成したとしてもそれほど大きな儲けにはならなかった、というケースに似ています。
確かに、グロース株投資には株式投資の醍醐味があり、成功した時の喜びや短期的リターンも大きいものの、その一方で高いリスクを負う割に少ない儲けしか得られないとすれば、リスクが低く儲けられる確率の高い、高配当ディフェンシブ株へのインカムゲイン投資の方がベターだと考えますがいかがでしょうか?
アップル(AAPL)の株価推移に見るハイテク株の悲しき宿命
株価も好調なアップル(AAPL)への投資に関する話題です。最近では、以前に比べて本業で話題になる機会が若干減ってきているように思いますが、相変わらずアップルはハイテク株銘柄の一角として根強い人気を誇っています。
アップルと言えばバフェット銘柄としても有名ですね。バークシャー・ハサウェイとして初めてアップルを取得した2016年以降、段階的に買い増しを行っており、現在ではウェルズ・ファーゴを抜き時価総額ベースで14.63%を占めるポートフォリオトップシェア銘柄になりました。
そんなアップルも、ここ最近のiPhoneの販売に陰りが見えてきていることから、株価も踊り場を迎えつつあり、今後の株価の動きにも不透明感が漂い始めているため、アップル株の購入を検討している方やホルダーの方は、売買の是非を迷われている方も多いのではないでしょうか?
そこで今日は、改めてアップルがこれまで描いてきた株価の推移を基に、アップルが持つ魅力とリスク、さらにはリターンを享受する上での注意点について、私なりの考えをご紹介してみようと思いますので、アップル株の売買に悩まれている方はご参考ください。
アップルの長期リターン実績
1988年以降の30年間という長期スパンにおける、配当再投資なしの設定でのパフォーマンスを調べてみると、アップル株の当時の評価額10,000ドルは、30年後の2018年には約111倍の1,118,533ドルにまで増えるほど、飛躍的な株価成長を遂げていることが分かります。
ピンと来ないかもしれない方のために円換算でシンプルに表現すると、30年前に購入した100万円分のアップル株が、放置していただけで1億円以上の価値に化けてしまったということです。たった100万円で憧れの億り人になることができるのですから、まさに夢のような話です。
※portfoliovisualizer.comより抜粋引用
年率リターンで言えば、30年間年率平均で16.9%成長を続けたことになり、ベストイヤーに至っては1年で2倍以上に成長した年もあるなど、これらの指標だけで考えても、アップルはバフェットに限らず、大勢の投資家を虜にするだけの魅力を備えた銘柄だと言えましょう。
アップルのリターンチャートに見るこれまでの株価推移
さて、上記の通り過去実績だけで言えば、投資家に対して呆れるほど高いリターンをもたらしたアップルですが、株価的な話で言えば、決して順風満帆な時期ばかりではなく、実はこの30年間には他の銘柄以上に厳しい時期があったことをご存知でしょうか?
以下のグラフにおける青い折れ線(Portforio1)は、同じく配当再投資をしない設定における、アップルの株価推移とも言うべきリターンチャートですが、ご覧いただくとお分かりの通り、概ね折り返し地点にあたる、2003年までの約15年間もの長きにわたり株価が低迷し続けています。
※portfoliovisualizer.comにて作成
具体的に言うと、1988年に投資したアップルの評価額10,000ドルは、15年後の2003年の7月末時点においても変わらず10,000ドルのままであったということです。私自身今回調べて初めて知ったことですが、予想を超える株価の低迷具合に正直なところ衝撃を受けました。
想像してみていただくとお分かりかと思いますが、株価が数か月間低迷しただけでも売却したり、糞株呼ばわりする投資家が現れることを考えると、恐らく当時アップルは市場からも酷評され、誰からも見向きもされない銘柄であったに違いありません。
もちろん「iTunes Store」を機に株価が大きく上昇し始める手前、つまり2003年7月に購入することができれば理想ですが、15年という長きにわたり低迷を続け、市場からも酷評されている状況にあるアップルを購入することは、かなり至難の業だと言えましょう。
今後における株価低迷の再来に対する覚悟の必要性
さて、話を過去から未来の株価に移してみます。上記のような暗黒の過去を持つアップルですが、2013年以降は多少の調整を経つつも株価も上昇を続けることとなり、現在ではすっかりパフォーマンスが期待できる人気銘柄の仲間入りをしていますが、今後についてはどうでしょうか?
売上の6割強を占める主力商材でもあるiPhoneの需要も既に一巡し、新規販売台数の伸びにも陰りが見えてきているほか、現時点ではiPhoneに代わり業績を担い得る製品がないことを考えると、今後の株価については決して油断できない状況にあるような気がします。
確かに、過去と同じような株価低迷時代が再来するとは限りませんが、絶対に起こらないとも言い切れないほか、アップルの事業は生活必需品と異なり、技術や製品が陳腐化、不人気化してしまえば簡単に業績が悪化する業態でもあるため、意外に可能性は高いとも言えます。
現在の状況を見る限りでは、スマートフォン自体がなくなることを想像することはできませんが、そもそもが技術を根拠として成り立つ製品である以上は、別の最新技術に置き換わる可能性は充分に考えられますし、スマートフォンがなくなれば、基本的にはiPhoneも多かれ少なかれ同じ運命を辿ることになります。
要するに、アップル株の購入にあたっては、華々しい111倍という光の一面だけを見るのではなく、影の一面でもある超長期株価低迷時代が再来するリスクに関しても、当然ながら覚悟した上で投資に臨む必要があるということです。
最後に
確かに、この30年間においてアップルは、大幅な株価上昇とそれに伴う高いリターンを実現してきました。しかし、それはあくまでも結果論でしかなく、実際にアップルのリターンをフルに享受できた投資家は、世界広しと言えどもほぼ皆無に近いのではないかと推測します。
なぜなら、仮に30年前にアップル株を購入したとしても、一般的には、数か月もしくは数年間株価が低迷した時点で売却してしまう可能性が高いほか、タイミング良く2003年に購入できたとしても、数十パーセントのリターンが出たところで利益を確定してしまう可能性が高いからです。
仮にそれが真実であるなら、先にご紹介したワーストイヤーやマックスドローダウンレシオからも分かる通り、高リスクばかりが先行することになり、実投資効率、つまりリスクに対する実リターンはかなり小さくなってしまいます。
いずれにしても、現在アップルを保有している又は今後購入を検討している方は、これまでの株価の軌跡を参考に、アップルの魅力とリスクを改めて確認した上で、投資可否についてご判断いただくことを是非ともおすすめします。
全構成銘柄リストが物語る『XLP』の魅力とは
米国の生活必需品セクターを代表するETF「XLP」についての話題です。取り立てて目新しい話題ではありませんが、今日はその全構成銘柄を確認してみなければ分からないXLPの魅力についてお伝えしてみたいと思います。
結論から言うと、XLPの魅力は、その全てが優良銘柄(メジャーブランド)だけで構成されており、分散と集中をかなり高い次元で両立してくれている点です。例えるなら、個別株としても高い人気を誇る銘柄ばかりを集めたドリームチームといったところでしょう。
XLPは、私自身も永久保有を前提としてポートフォリオの約20%を割り当てている主力銘柄ですし、安定かつ着実に資産を増やすことを志すディフェンシブ銘柄好きの方には最もおすすめしたい投資対象でもあるため、この機会に是非ご参考ください。
XLPの概要
XLPは、米国ステートストリート・グローバル・アドバイザーズ社が運営する、生活必需品関連の米国株銘柄で構成されたETFです。設定は1998年12月16日と、セクターETFとしてはそれなりに実績があります。
資産総額は約140億ドルとかなり大きく出来高も多いため、流動性を気にする必要もなく安心して保有株数を増やすことが可能です。先々まで含めて考えると、銘柄選びをする上ではそこそこ重要なポイントだと個人的には考えています。
また、経費率についても0.13%とかなり低い水準に抑えられています。例えば、仮に1,000万円分保有した場合でも、年間13,000円です。分配金利回りが2%強、上手く仕込めば3%以上を確保できることを考えれば、神経質になる必要もない水準だと言えましょう。
全構成銘柄が物語るその魅力とは
それでは今日の本題、XLPを構成する全ての銘柄についてご紹介してみたいと思います。以下は、ステートストリート・グローバル・アドバイザーズ社のウェブサイト上で公開されている全構成銘柄の一覧です。
ご覧いただくとお分かりの通り、プロクター・アンド・ギャンブルを筆頭に、食品を中心とした優良銘柄が並んでいます。そして注目すべきは最下位レベルの銘柄です。要するに、最下位レベルには通常よくわからない無名銘柄が並ぶのに対して、XLPはメジャーブランドばかりだということです。
一般的なETFの弱みの1つとして、必ずしも優良とは言えない銘柄にも投資せざるを得ない点が挙げられますが、XLPに関して言えば、最低限の分散効果を実現していながらも、その弱点はほぼ皆無に等しいと言っても過言ではありません。
もちろん生活必需品セクター限定ではありますが、仮にセクター型のETFであったとしても、これだけ無駄なくコンパクトに優良銘柄のみがパッケージ化されているのは、XLPぐらいではないかと思いますがいかがでしょうか。
バンガード社VDCとの違い
ご存知の方も多いかと思いますが、XLPと似たETFにバンガード社のVDCがあります。おそらく生活必需品セクターETFを選ぶ際、誰もが悩む有力候補ではないかと思いますので、参考までにその違いについても簡単に触れておきます。
XLPとVDCの主な違いは主に3つ、つまり経費率、出来高、構成銘柄に集約することができます。その他、厳密に言えば運営機関の経営状態や好き嫌いもあるかと思いますが、その点については割愛することにします。
経費率は、XLPが0.13%に対してVDCは0.1%と0.03%の違いがあります。ただ、個人的には特に気にしていません。というのも、例えば1,000万円分の保有でも年間3,000円程度の違いだからです。他の要素次第では無視できるレベルでしょう。
続いて出来高です。XLPはVDCに比べて出来高が圧倒的に多いです。参考までに先週金曜日1日の出来高を例に出すと、XLPが1,400万に対してVDCは7.5万です。将来的な保有規模を考えると、出来高は多いに越したことはありません。
最後は、今日のメインテーマでもある構成銘柄の違いです。同じ生活必需品セクターETFではありますが、XLPが30銘柄強の大型株に絞り込まれているのに対し、VDCは100銘柄前後と中小型銘柄まで含んでいます。
あくまでも個人的な見解に過ぎませんが、生活必需品セクターの場合、その特性上伝統とブランド力を持つ大型株が事業展開上有利に働く可能性が高いことを考えると、超長期的なリターンに関しては、XLPに軍配が上がるかもしれません。
最後に
以上、ステートストリート・グローバル・アドバイザーズ社の生活必需品セクターETF「XLP」の魅力を、全構成銘柄と共にご紹介してみました。私自身がそうだったように、その贅肉の少なさに改めて驚かれた方も多いのではないでしょうか。
生活必需品セクターは、その特性上事業環境が景気の波に左右されづらいため、安定した業績に裏付けられたリターンを期待することができる銘柄群であり、実際にも過去ベンチマークを凌ぐパフォーマンスを実現してきました。
そしてその中でも、ステートストリート・グローバル・アドバイザーズ社のXLPは、経費率の低さや出来高の多さはもちろんのことながら、優良銘柄のみで構成された長期投資に値する非常に良質なETFだと言えます。
これまで個別株中心でETFに投資してこなかった方や、さらには今後生活必需品セクターETFへの投資を検討されている方は、この機会に今日ご紹介したXLPについて、改めて検討されてみることを是非おすすめします。
カストック(Kastock)をはじめ貸株サービスが金利収入の割にリスクが大き過ぎる理由
カストック(Kastock)をはじめとした貸株サービスに関する話題です。カストックに関してはまだ歴史が浅いため、利用経験のある方はそれほど多くないかもしれませんが、日本株向けの貸株サービスを利用されたことがある方は、それなりに多いのではないでしょうか?
私を含め、アーリーリタイアを目指しているサラリーマン投資家にとっては、本業以外に如何に多くの収入源を持てるかが、早期リタイアを実現する上で重要な鍵を握ります。株式投資家における収入源の代表格はもちろん配当金ですが、その他貸株による金利収入も貴重な収入源の一つとして挙げられましょう。
そこで今日は、そうした貴重な収入源の1つでもある、米国株版カストックをはじめとした貸株サービスのメリットとデメリットについて改めて考えてみます。貸株サービスについてご存知ない方もいるかと思いますので、まずは基本をおさらいした上で、このサービスの是非に話を進めたいと思います。
貸株サービスのメリット
貸株サービスとは、保有している現物株式を証券会社に貸し出すことで、貸している期間において銘柄毎に設定された金利収入が得られるサービスのことを言います。株式を貸している間でも売却はいつでも可能ですし、貸し出したり止めたり、改めて再開したりする手続きも、多少のタイムラグはあるものの取引画面で比較的簡単に実施することができます。
例えば、長く塩漬け状態で保有している株式がある方などは、それを貸し出すことで僅かでも金利収入につなげることができるため、その意味ではメリットのあるサービスだと言えましょう。配当金や株主優待以外に収入につなげられる手段として、実際に利用されている方も多いのではないでしょうか?
貸株サービスを利用できる証券会社
今のところ、貸株サービスが利用できる証券会社は、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、松井証券、カブドットコム証券の5社のみです。基本的な貸株の仕組みや考え方はどの証券会社でも変わりはなく、私たちにとって分かりやすく違う点と言えば、各社毎に提示する銘柄毎の金利水準が異なるところでしょう。
私も過去、SBI証券と楽天証券それぞれで利用した経験がありますが、ほとんど利便性は変わらなかったため、貸し出そうと考えている銘柄の金利がより高い方で利用するようにしていました。ただ、今週はSBI証券の方が高いが次週は同じといったように、時期によって頻繁に金利が変わり対応しきれないため、最終的にはSBI証券にまとめてしまいました。
米国株版貸株サービス「カストック」とは
これまでは、基本的に日本株式のみが貸株の対象でしたが、昨年よりSBI証券が待望の米国株版貸株サービス、カストックを提供し始めました。カストックで貸し出し可能な米国株は、計1000銘柄以上とかなりの銘柄をカバーしている他、ETFも対象になっているため、保有銘柄を貸すことができないといったような問題はまず起こらないでしょう。
現状で言えば、私のポートフォリオは全て米国株で構成されており、配当再投資を軸としたバイアンドホールドを基本としているため、本来であればカストックはまさに私のような投資家にピッタリのサービスであるはずですが、敢えて利用することなく現在に至っています。
貸株金利の水準
金利水準は証券会社や銘柄によって異なりますが、日本株式で言えば0.1%から10%程度までとかなり幅があるものの、構成としては0.5%以下の金利水準を採用する銘柄群が最も多くなっている状況です。一方、米国株版カストックの場合は、私が保有しているような大型株などは大半が0.01%程度と低く、全体的にも日本株に比べると見劣りする金利水準です。
確かに、金利水準だけ見るとかなり物足りない印象ですが、塵も積もれば山となりますし、米国株式は別として日本株式のケースであれば定期預金より軒並み高い水準にあるため、金利収入だけで考えれば銀行に預けておくよりも貸株サービスを利用した方がお得だと言えましょう。
貸株サービスのデメリット
金利収入が得られるだけであれば問題はないのですが、当然ながらそんなうまい話がある訳はなくデメリットも複数存在しています。私に関して言えば、まさにこのデメリットをどうしても許容することができないため、カストックを利用していませんし今後も利用することはないでしょう。
①配当所得ではなく雑所得に変わり二重課税になる可能性がある
貸株に伴う金利収入はもちろんですが、貸株中に支払われる配当金に関しても、特定口座で自動的に税金が徴収される通常の配当所得ではなく、配当金相当額になることがあります。配当金相当額とは、配当金から源泉徴収額を除いた想定額ですが、注意すべきは配当金ではなくその名の通り本来株主に支払われるであろう相当額を計算して払うもので、配当所得ではなく雑所得になるという点です。
したがって、配当金相当額を受け取った時点では税金の支払いが完了していないため、二重課税、つまり配当金から源泉徴収相当額が引かれた上に、さらに雑所得として課税されるという状況が発生してしまいます。しかも、損益通算もできないほか、米国株の外国税についても外国税額控除が利用できなくなってしまうというように、余分に税金がかかるだけでなく節税手段にも不具合が出てしまうため、金利収入以上の損失になる可能性があると言えます。
②証券会社が破綻して株式資産を失うリスクがある
実は私が一番のデメリットだと思っている部分ですが、貸し出している途中で万一証券会社が破綻した場合、貸している株式も損害を被る可能性、場合によっては全てを失ってしまうケースもあり得るということを踏まえておく必要があります。
通常現物と呼ばれる株式は購入者本人の名義になっているほか、証券会社は自社の資産とは分別して管理する義務があるので、仮に証券会社が破綻しても株式資産には何の影響もありません。しかし貸株の場合、貸している間は株の名義が証券会社に移っており証券会社の資産として見なされるため、破綻すれば債権者への補填として売却されてしまうリスクがあるためです。
確かに、証券会社がそんなに簡単に倒産するはずもなく、仮に経営が危うい状況になった場合にはそのタイミングで貸株を中止すれば良い、という考え方もあるでしょう。ただ、少し古い話になりますが、1998年に倒産した山一証券を思い出してください。当時大手の一角を占めていた山一証券が、あのようにいとも簡単に倒産してしまう可能性を想定していた人がいたでしょうか?
恐らく山一証券の社員や取引先でさえも、場合によっては国の救済又は買収の可能性があるとは思っていたかもしれませんが、倒産するとは微塵も考えていなかったはずです。山一証券は、損失を隠蔽する形の粉飾決算をしていたため、経営の危険性が公になりづらかった事情がありますが、貸株サービスを提供しているSBI証券や楽天証券などが損失隠しをしていない保証もありません。
また、百歩譲って倒産報道とほぼ同時に私たちが情報を知ることができたとしたら、実際にどこまでリスクを回避できるでしょうか?あくまでも私の個人的な見解ですが、その段階では既に具体的な回避行動が難しくなっているような気がしてなりません。なぜなら、発表された段階で貸株を解除しようと思っても、同じような投資家が殺到することでウェブサイトがダウンし、解除できなくなる可能性が高いためです。
まとめ
確かに、ただ放置している塩漬け株を貸し出すだけで得られる不労所得でもあり、配当再投資ではありませんがそこで得られる金利収入を再投資することで、長期的に考えればそれなりの資産形成にもつなげられるため、そういった側面だけを見ればカストックなどの貸株サービスは非常に魅力的なサービスだと言えましょう。
しかしながら、金利収入レベルに見合わないほどの利用に伴うデメリット、つまり税金面での不具合や、何より大切な株式資産を失うリスクがあるため、私自身は今も利用していませんし今後も利用しないつもりです。目先の僅かな金利収入のために、これまで苦労して積み上げた株式資産を失ってしまっては何の意味もありません。
現在既にカストックなどの貸株サービスを利用している方や、今後新たに利用を検討されている方は、改めてこの機会に貸株サービスにおけるメリットとデメリットを踏まえるだけでなく、是非とも最悪のケースを想定した上で、貸株サービスの利用可否をご判断いただくことをお勧めします。
生活必需品セクターに潜むおすすめのグロース株6銘柄のご紹介
生活必需品セクターに属するおすすめのグロース株銘柄に関する話題です。ディフェンシブ性を重視しながらも、可能な限りキャピタルゲインも欲しいという欲張りな方は必見です。
一般的に、生活必需品セクターのようなディフェンシブ銘柄群には、比較的株価が下落しづらく安定しているという特性がありますが、裏を返せばそれは値上がりもしづらいということとイコールでもあるため、グロース株が生まれづらいセクターだと言えます。
しかしながら、そんな守りのイメージが強い生活必需品セクターの中にも、過去目覚ましい株価成長を遂げているグロース株と言っても過言ではない銘柄群が立派に存在しています。
もちろんグロース株と言いつつも、アップル(AAPL)やアマゾン・ドットコム(AMZN)のような呆れるような成長とまではいきませんが、ベンチマークとの比較においてはグロース株と呼ぶに相応しい十分な株価成長を実現しています。
そこで今日は、生活必需品セクターに潜む数あるグロース株の中から、個人的におすすめしたい6銘柄についてご紹介してみようと思いますので、攻めと守りを両立したいという欲張りな方は是非ご参考ください。
生活必需品セクターに属するおすすめのグロース株6銘柄
それでは早速、おすすめのグロース株6銘柄について簡単にご紹介してみようと思います。今回使用するデータやグラフは、すべてポートフォリオビジュアライザー(Portfolio Visualizer)のデータを活用させていただいています。
①コンステレーション・ブランズ(STZ)
トップバッターは、コロナビールなど米国のアルコール飲料メーカーでもあるコンステレーション・ブランズで、当該期間の年率リターン平均は18.99%と、今日ご紹介する中では最も高い成長を遂げています。
この銘柄はアルコール飲料で有名ですが、ここ最近ではマリファナ関連企業としても話題になっています。過去記事でもご紹介していますので、ご興味のある方はそちらもご参考ください。
②チャーチ・アンド・ドワイト(CHD)
続いては、昨日の記事でもご紹介しているベーキングパウダー(重曹)などで有名な米国の日用品メーカーのチャーチ・アンド・ドワイトです。当該期間の年率リターン平均は16.31%と、こちらも素晴らしい株価成長を実現しています。
この銘柄は、米国中心でビジネスの内容的にも非常に地味ですが、数多くの買収を成功させることで上手に成長している企業として知られています。上記リターンチャートを見てもかなり安定的に成長していることが分かります。
100年に1度レベルと言われたリーマンショックでも微動だにすることなく推移していることからも分かりますが、ビジネス的にはディフェンシブど真ん中といった感じでかなり好感が持てます。現保有銘柄です。
③マコーミック(MKC)
続いては、米国株投資家からも人気の米国の調味料メーカーのマコーミックです。実は私も主力として保有している銘柄です。当該期間の年率リターン平均は15.10%と、負けず劣らずこちらも見事な株価成長を実現しています。
この銘柄も、チャーチ・アンド・ドワイトほどではありませんが、比較的安定した右肩上がりの成長を遂げてきており、食品、中でも調味料というディフェンシブど真ん中のビジネスでもあることから、長期投資先としてはかなり魅力を感じます。
④ホーメル・フーズ(HRL)
食品関連、中でも米国を中心としてソーセージなどの食肉製品の製造販売を営むホーメル・フーズです。当該期間の年率リターン平均は13.15%と、こちらも見事な株価成長を遂げていることがお分かりいただけるかと思います。
食肉製品という、今日ご紹介している中でも特に私たちの生活に深く密接に関わる商材を扱っているため、好不況の影響をより受けづらいイメージがあり好感が持てます。ただし、堀としては若干浅めな感じは否めません。
⑤エスティ・ローダー(EL)
ご存知の方も多いクリニーク、アラミスなど幅広くスキンケア用品や化粧品などを扱う米国化粧品メーカーのエスティ・ローダーです。当該期間の年率リターン平均は11.82%と、意外にも素晴らしい株価成長を実現しています。
この銘柄については、もちろん男女関係なくおすすめできる投資先ではありますが、女性向けにおすすめとしてご紹介した過去記事がありますので、ご興味のある方はそちらもご参考ください。
⑥コストコ・ホールセール(COST)
最後を締め括る銘柄は、ご存知の方も多いであろう米国を中心として会員制大型量販店チェーンを展開するコストコ・ホールセールです。当該期間の年率リターン平均は11.66%と、非常に素晴らしい株価成長を実現しています。
この銘柄は、会員費というコアとなる収益を得ながらも、店舗数の拡大でビジネスを拡大しており、同時に顧客の囲い込みもできているので安定した成長が実現できているイメージです。
ビジネスがメーカーではなく小売りということで、他の5銘柄と比べてこの銘柄だけ若干異質な感じがしない訳ではありませんが、一般的な分類上は生活必需品セクターに属しているためここでご紹介してみました。
最後に
以上、生活必需品セクターに属するおすすめのグロース株銘柄群についてご紹介してみました。比較的メジャーな銘柄ばかりなので、銘柄自体は既にご存知の方も多いのではないかと思いますが、何らかの発見があれば幸いです。
今回の記事の中ではビジネス観点でのコメントが中心でしたが、この株価成長を支えている要素としては自社株買いによる部分も大きいように思いますので、その辺りも参考までに一度調べてみていただければと思います。
いずれにせよ、今回ご紹介した6銘柄についてこれまであまりご存知なかった方は、ディフェンシブ性も兼ね備えながらキャピタルゲインも狙える貴重かつ優良なグロース株銘柄群として、この機会に検討いただくことを是非おすすめします。
投資信託の銘柄選びに悩む初心者に「eMAXIS Slim」を最もおすすめする理由
初心者におすすめの投資信託(インデックスファンド)としての eMAXIS Slim シリーズに関する話題です。予めお伝えしておくと、本記事はあくまでも投資信託のシリーズ、つまりおすすめの銘柄に関する話であり、一般的に議論の的になることが多い、アセットクラスの優劣や是非の話ではありません。
ここ数年、積立NISA や iDeco をはじめとした環境の整備が進んでいるほか、それに伴う国や金融機関の積極的な啓蒙活動や周りからのおすすめもあり、資産運用の一環としてインデックスファンドをはじめとした投資信託の購入を検討し始めている初心者の方も多いのではないかと思います。
しかしながら、初心者がいざ投資信託を始めようとした際にぶち当たる壁が、株や債券などのアセットクラスはもちろん、銘柄、つまり運用機関選びです。というのも、違う運用機関にも関わらず、全く同じアセット構成の投資信託が数多く販売されているからです。
そこで今日は、投資信託を始めようと思いながらも、具体的な銘柄選びに悩まれている初心者の方向けに、eMAXIS Slim シリーズの魅力、さらには個人的におすすめする理由についてご紹介してみようと思いますので、投資信託の銘柄を選ぶ基準の一例としてご参考ください。
おすすめの投資信託商品シリーズ「 eMAXIS Slim 」とは
今日ご紹介する初心者の方におすすめしたい eMAXIS Slim とは、三菱UFJ国際投信社が比較的最近販売を開始した投資信託ブランドです。以前から同じ三菱UFJ国際投信が販売している単なる eMAXIS シリーズとは異なる商品ラインナップになりますのでお間違えのないようにご注意ください。
この eMAXIS Slim シリーズは、とにかく運用コスト(主に信託報酬手数料)水準、つまり常に業界最低水準を目指し続けることを謳い文句にしている投資信託商品群であり、まさにこの部分が私がこの銘柄を最もおすすめする理由だと言えます。おそらくここまで宣言するぐらいですから、それ相応の覚悟があるのでしょう。
以下が eMAXIS Slim の商品フルラインナップです。積立NISA適格ファンドも8商品あるほか、国内アセットはもちろん、個人的におすすめの米国S&P500指数連動型やバランス型に至るまでアセットクラスの網羅性が高いほか、信託報酬率についても、現に全てのアセットクラスで業界最低水準を実現しています。
また、低コスト投資信託において必ずといって良いほど話題になる実質コスト(額面ではなく実際にかかった信託報酬手数料額)についても、先日発表された決算の内容を見ると軒並み低くおさえられており、名実共に業界最低水準の投資信託であることが証明されています。
なおこのシリーズは、販売会社とのコラボレーションにより最低水準のコストを実現しているためか、販売会社が以下の11社に限定されており、従来の投資信託商品に比べて少ない印象ですが、私もおすすめのネット証券大手、つまりSBI証券、楽天証券、マネックス証券がカバーされているため問題ないでしょう。
参考)三菱UFJ国際投信ウェブサイト とことんコストを追求する投資信託、eMAXISSlim(イーマクシス・スリム)
投資信託の信託報酬手数料がパフォーマンスに与えるインパクト
まずは初心者の方向けに、投資信託における主なパフォーマンス要因について、念のためおさらいしておきます。アセットクラスの要素を排除した場合の投資信託における最大のパフォーマンス要因は、投資信託を保有している限り発生し続けるコスト、つまり信託報酬手数料です。
以下は、三菱UFJ国際投信社のウェブサイトから引用した、信託報酬手数料がパフォーマンスに与える影響を表したグラフになりますが、仮に1%に満たない差であったとしても投資信託のパフォーマンスに及ぼす影響は大きく、期間が長くなればなるほどその差は拡大します。
つまり裏を返すと、信託報酬手数料を低くおさえることができれば、投資信託のパフォーマンスを引き上げられるという理屈になるため、投資信託において成功するおすすめの運用方法、それは手数料率が最も低い投資信託銘柄を常に保有している状態を維持し続けることだと言えましょう。
投資信託の解約と他銘柄への乗り換えに伴う3つのデメリット
それでは、信託報酬手数料が最も安い銘柄に都度乗り換え続ければ良いかというと、話はそれほど単純ではありません。なぜなら、乗り換えには少なからず以下のような難しさやデメリットが伴うからです。実際にパフォーマンスを左右する重要なポイントでもあるため、この機会に改めてご参考ください。
①初心者ができる芸当ではない
まずはそもそも論ですが、投資信託自体はもちろん、右も左も分からない初心者の方が、複数の運用機関から販売されている各投資信託商品の手数料情報を常にチェックし、絶えず最安水準の銘柄に乗り換え続けることができるかと言えば、正直なところかなり困難だと言えましょう。
というより、どこの運用機関から自分が保有しているアセットクラスの投資信託が販売されているのかさえも、初心者が全容を把握することは至難の業だと言わざるを得ません。というのも、インデックスファンドだけでも複数ある上、アクティブファンドも含めると星の数ほど存在するからです。
しかも、それが忙しいサラリーマンであれば尚更で、平日の仕事はもちろん、休日も会社のイベントに駆り出されることもありますし、仕事がなかったとしても家族との時間も確保しなければならないため、投資信託のことばかりに時間を費やしてばかりはいられません。
②信託財産留保額という費用の存在
最近では、発生する投資信託商品もかなり少なくなりましたが、売却(ファンドの解約)時に信託財産留保額という費用が発生する投資信託も少なからず存在します。つまり投資信託を売却する度に、1度だけではありますがこの費用を払わなければならないということです。
信託財産留保額とは、投資信託の運用に伴う売却やリバランスのためのコストを、残された投資家だけに負担させないようにするための費用で、ちなみに eMAXIS Slim はいずれも発生しませんが、例えば私も以前保有していた人気のバランスファンド「世界経済インデックスファンド」の場合、0.1%の費用が発生します。
確かに、費用自体はそれほど大きな額ではありませんが、投資信託の場合は広く分散されているケースも多く、運用リターン自体が年間数パーセント程度の世界でもあるため、少しでも高いパフォーマンスの実現を目指すのであれば、たとえ少額であったとしても払わないに越したことはありません。
③利益確定に伴う税金の発生
最後に、効率的な複利運用を強みとする投資信託にとっては致命的とも言える、利益確定に伴う税金に関するデメリットです。投資信託だけではありませんが、ご承知の通り資産運用に伴う運用益に対しては、所得税や住民税といった税金を払わなければなりません。
もちろん、単に額面上の含み益だけであれば税金が発生することはありませんが、仮に乗り換えに伴い含み益状態にある投資信託を売却し利益を確定してしまった場合には、その利益部分に対する税金が差し引かれるため、その税金分のリターンが減ってしまい、複利効果を阻害することになります。
つまり、含み損であれば尚更ですが、利益が出ている場合も乗り換えに伴う税金面のデメリットが発生してしまうため、仮に信託報酬手数料の安い投資信託が新たに発売されてしまった場合でも、基本的には可能な限り乗り換えない形を模索するのが得策であり、初心者におすすめの運用方法だと言えましょう。
投資信託で運用を始めるなら銘柄選びは eMAXIS Slim で決まり
以上、おすすめの根拠につながる内容を書き連ねましたが、要するに、投資家自身が敢えて動かなくても、アセットクラスを問わず常に業界最低水準のコストを維持してくれるであろう eMAXIS Slim シリーズを選ぶことが、投資信託において最高のパフォーマンス実現する最善の策だという点が、おすすめする一番の理由です。
もちろん、短期スパンもしくは投資信託銘柄単体では、より低コストを謳う銘柄が出てくる可能性はありますが、この先も eMAXIS Slim が今の方針を維持し続けるとすれば、中長期的にはこのシリーズを選んでおくことが、税金も含めた運用コストを最も低く抑えることにつながるはずです。
現在、投資信託の銘柄選びに悩まれている初心者の方をはじめ、場合によっては絶え間なく変わるコストコンディションチェックに嫌気がさしているインデックス投資家の方も、この機会に今日おすすめさせていただいた eMAXIS Slim を、投資先の有力候補の1つとして検討されてみることを是非おすすめします。